話が違うぞ…元小学校教員(62)、「退職金で住宅ローン完済」のはずが〈残債1,200万円〉の現実。「退職金減額」と「金利上昇」で崩れ去った老後計画【CFPが解説】

話が違うぞ…元小学校教員(62)、「退職金で住宅ローン完済」のはずが〈残債1,200万円〉の現実。「退職金減額」と「金利上昇」で崩れ去った老後計画【CFPが解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

定年退職を迎え、退職金で住宅ローンを一括返済し、夫婦でのんびりセカンドライフを過ごす。そんな日本人の多くが描く「老後の理想図」が今、度重なる制度変更と金利上昇によって崩れ去ろうとしています。とくに、学校の教員や警察官などの「公務員」として真面目に働いてきた50~60代が、皮算用とのギャップに苦しむケースが増えています。42歳のときに変動金利でローンを組んだ元小学校教員の事例をもとに、現役世代が陥りがちな老後設計の誤算と、そこから抜け出すための対処法をCFPの下田幸彦氏が解説します。

「話が違う…」退職金600万円減で崩れ去った老後計画

Sさんは2年前、60歳で無事に定年退職を迎えました。しかし、いざ手渡された退職金の明細を見たSさんは言葉を失いました。20年前に皮算用していた額より、はるかに少なかったのです。

 

実は、地方公務員の退職金はここ十数年で段階的に引き下げられています。総務省の「地方公務員給与実態調査」等によると、Sさんがローンを組んだ約20年前(2006年頃)の地方公務員(教育職を含む)の定年退職金は、全国平均で2,800万円近い水準にありました。

 

しかし度重なる制度改正の結果、直近のデータでは、退職金は2,100万円程度にまで落ち込んでいます。実に「600万円以上」もの目減りです。

 

当時、Sさんの住宅ローン残高は約1,200万円残っていました。減額された退職金を使って一括返済してしまうと、老後の生活資金として手元に残るキャッシュがあまりにも少なくなってしまいます。

 

「これじゃあ一括返済はできない。話が違うじゃないか……」

 

一括返済を不安に感じたSさんは、現役時代より給与が大幅に下がる「再任用」の道を選び、毎月ローンを返し続けることにしたのです。

さらなる追い打ち…「金利上昇」で毎月5,000円の負担増

それから2年、62歳になったSさんにさらなる追い打ちが直撃します。それが、ここ数年の「金利上昇」です。

 

「金利が上がったら貯蓄で返済すればいい」といわれていたものの、現役時代は日々の生活費や教育費に追われ、金利上昇に備えた計画的な貯蓄はできていませんでした。

 

物価高騰の波も加わり、ついに金利上昇によって毎月のローン返済額が5,000円も増えてしまったのです。

 

給与が下がった再任用の身で、毎月の負担増は想像以上に家計を圧迫します。Sさんの胸中には「手元の退職金で今すぐ全額完済すべきか、それともこのまま耐えるべきか」という焦りだけが募っていました。

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