消費税導入前に存在した「物品税」とは
消費税法導入前、日本には「物品税法(昭和37年法律第48号)」が存在していました。この法律は、昭和15年法を全面改正したもので、昭和63年に消費税法が成立するまで施行されていました。
当時の物品税は、商品ごとに税率を細かく分類する制度でした。税率は5%から40%まで設定されており、高級品ほど高い税率が課される仕組みとなっていました。
高級車・ゴルフ用品・高級時計に40%課税された時代
最も高い40%の税率が適用されていたのは、高級自動車、モーターボート、ゴルフ用品、貴金属類を使用した高級時計などです。
現在では一般化した商品もありますが、当時は「ぜいたく品」と位置付けられていました。高度経済成長期からバブル期にかけて、物品税は「ぜいたく消費への課税」という性格を強く持っていたのです。
「ぜいたく品」をどう定義するのかという課題
もっとも、現代においてぜいたく品課税を導入する場合、最大の問題となるのは「何をぜいたく品と定義するのか」という点です。
昭和37年当時と比べると、生活水準や消費スタイルは大きく変化しています。かつては高級品だったものが、現在では一般的な商品となっているケースも少なくありません。
また、同じ商品であっても、趣味や仕事、資産価値など用途が多様化しており、一律に「ぜいたく品」と分類することは容易ではありません。
価格基準ならシンプルだが“抜け道”も
そのため、商品の種類ではなく「価格」を基準とする考え方もあります。「100万円以上の商品」を高率課税の対象にするという方法です。
ただし、この場合でも課題はあります。たとえば、ゴルフ用品一式をセット販売すれば対象となる一方、クラブを個別販売することで基準を回避できる可能性があります。
それでも、「ぜいたく品」の定義を細かく議論するよりは、価格基準の方が制度としてはシンプルで分かりやすいという見方もあります。
ぜいたく品課税は国民の理解を得られるのか
贅沢品への高率課税は、一般的な消費増税と比べれば、国民生活への直接的な影響は限定的と考えられます。そのため、「生活必需品ではなく高額消費に負担を求める」という考え方に一定の理解が集まる可能性もあります。
一方で、高級品市場への影響や、富裕層消費の海外流出、課税対象を巡る線引きの難しさなど、制度設計上の課題も少なくありません。
食料品消費税ゼロを実現するためには、財源問題を避けて通ることはできません。ぜいたく品への高率課税は、その是非も含めて、今後さらに議論される可能性があるテーマといえるでしょう。
矢内 一好
国際課税研究所
首席研究員
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