「日本に戻りたい」…夫婦が直面した“老後移住”の孤独
海外生活2年目を過ぎたころ、洋子さんは徐々に口数が減っていきました。理由は、孤独感でした。
日本人コミュニティはありましたが、人間関係は思った以上に流動的でした。親しくなった人が体調や家族事情を理由に突然帰国することもありました。
「最初は楽しかったんです。でも、“ここで歳を取る”ことが急に怖くなって」
さらに、現地で親しくしていた日本人男性が病気で急逝したことも、夫婦に大きな衝撃を与えました。
「もし自分たちに何かあったら、どうするんだろう」
その不安は、一気に現実味を帯びます。
滞在資格の更新手続きも定期的に必要で、「ずっと住み続けられる保証があるわけではない」と感じるようになりました。
「“暖かい国でのんびり暮らす”っていう理想だけでは、生活は続かなかったんです」
一方で、日本に戻るにも問題がありました。
すでに自宅は売却済み。日本の物価や家賃は以前より上昇しており、帰国後の住まい探しは簡単ではありません。加えて、海外生活中の出費も想定以上で、貯蓄は3年間でかなり減っていました。
現在、夫婦は日本への完全帰国を視野に入れつつ、地方都市での住み替えを検討しています。
「海外生活が失敗だったとは思っていません。でも、“憧れ”だけで決めていた部分はあったと思います」
老後の海外移住は、自由で魅力的な選択肢に見えます。しかし実際には、言語、医療、孤独、為替、ビザ更新――日常生活のあらゆる部分に、“異国で暮らす現実”が存在します。
「暖かい国で暮らしたい」
その夢は確かに叶いました。けれど夫婦が痛感したのは、老後に本当に必要だったのは「安心して歳を重ねられる場所」だったということでした。
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