(※画像はイメージです/PIXTA)

2026年5月の金市場は、イラン紛争による原油高と、揺れ動く利下げ観測が交錯するなかで、方向感のつかみにくい展開となりました。原油価格が100ドル前後で高止まりすれば金の上値は重くなる一方、和平進展や利下げ期待が強まれば、金は再び5,000ドル台を試す可能性があります。投資家心理は慎重ながらも押し目買いは根強く、中国の現物需要や中央銀行の金購入、さらに財政悪化と債務膨張といった構造要因が金市場を下支えしています。本稿では、5月の金価格を左右する主要テーマを整理します。なお、本稿はステート・ストリート・インベストメント・マネジメントの4名のストラテジストによる共同執筆です。

金が主役復帰も、原油価格しだいでは伸び悩む可能性

代替資産の波乱収束で、再び金が市場の主役に

第1四半期は、歴史的にも波乱となる急激な価格乱高下と資金フローの変動に見舞われましたが、金・銀・ビットコインといった代替的な価値保存資産のボラティリティは、4月にかけて低下しました。第1四半期に見られた高いボラティリティは貴金属や暗号資産の値動きが安定するにつれ、平均水準に回帰しつつあるようです※21

 

急激な価格変動が落ち着くにつれ、代替資産、特に金に関する「構造的テーマ」が再び前面に出て来る可能性があります。そのテーマには世界的な債務負担の増大(戦費やエネルギー補助金によってさらに悪化する可能性があります)、株式と債券の相関が依然として正のままであること、地政学的な分断が急速に進み、実物資産の積み増しを促す可能性があること、などが含まれます。

 

押し目買い進むも、投資家心理は慎重

投資家は、第1四半期末に利益確定、現金確保、ポートフォリオのリバランスなどを通じて貴金属ETFから大規模な資金流出が起きたことを受けて、4月に金価格の押し目を広く買い集めたようです。

 

とはいえ、当社は第1四半期の急激な価格変動を受け、富裕層および機関投資家の貴金属に対するセンチメントは依然としてやや慎重とみています。イラン紛争を巡る不確実性は依然として大きいままです。

 

もう一つの注目すべき材料は、短期的なドル金利の見通しです。FRBはより長期間にわたり政策金利を据え置く可能性がある一方で、マネーマーケットのトレーダーは依然として利上げサイクルに入る可能性を楽観的にみています。

 

ただし、これは、米国の中間選挙を巡る政治情勢が一定の妥協を促す可能性があるため、第2四半期中に紛争が具体的な解決へ向かうことが条件となる公算が大きいでしょう※22

 

金価格は原油価格しだい…正常化なら金は上昇、高止まりなら逆風か

エネルギー価格、特に原油価格の推移は、金市場のセンチメントにとって極めて重要と思われます。当社の基本シナリオでは原油価格が1バレル当たり80〜85ドル前後で正常化すれば、FRBの金融政策、実質金利、米ドルといった経路を通じて、金のスポット価格は1オンス当たり5,000〜5,500ドルに向けてさらに上昇する可能性があるとみています。

 

しかし、原油価格が120〜140ドル付近で長期的に高止まりする場合は、少なくとも一時的には金市場に逆風となり、金価格は4,000ドル台に下落するとみています。

 

そうした下落局面では、投資家は買い向かい、最終的には金価格を支える動きになると当社は予想しています。

 

[図表3]構造的な財政赤字が解消される可能性は低く、金の長期的な追い風を支える★3

 

〈ご留意事項〉
本書は、投資の推奨や投資アドバイスを意図したものではなく、そのようなものとして依拠されるべきではありません。

本稿に示されている見解は2026年5月1日時点のSPDRゴールド戦略チームの見解であり、市場やその他の状況によって変わる場合があります。本資料には、将来の見通しと見なされる可能性のある記述が一部含まれています。その様な記述は、将来のパフォーマンスを保証するものではなく、実際の結果や展開はこれら予想とは大きく異なる場合がある点にご注意ください。

提供された情報は、投資助言に該当するものではなく、そのようなものとして依拠されるべきではありません。本情報は、有価証券の購入の勧誘または売却の申出とみなされるべきものではありません。本情報は、投資家の特定の投資目的、戦略、税務上の地位または投資期間を考慮したものではありません。ご自身の税務・財務アドバイザーにご相談ください。

ここで言及されている商標およびサービスマークは、それぞれの所有者の所有物です。第三者のデータ提供者は、データの正確性、完全性または適時性に関していかなる保証または表明も行わず、また、かかるデータの使用に関連するいかなる種類の損害に対しても責任を負いません。

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コモディティやコモディティ指数に連動した証券は、全体的な市場動向の変化や金利の変化、さらには天候、疾病、通商停止や政治的ないし規制的な展開、対象コモディティに係る投機者や裁定者の取引活動など、他の要因の影響を受けます。

コモディティへの投資は大きなリスクを伴うため、すべての投資家に適した投資対象ではありません。

過去の実績は、将来の投資成果を保証するものではありません。

本資料は、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントが作成したものをステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社が和訳したものです。内容については原文が優先されることをご了承下さい。

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©2026 State Street Corporation.
7620090.15.1.APAC.RTL Exp date:5/31/2027

〈注記〉
※1 Source: Bloomberg Financial L.P., State Street Investment Management, as of 04/30/2026
※2 Source: Bloomberg Financial L.P., State Street Investment Management, as of 04/30/2026
※3 Source: Bloomberg Financial L.P., State Street Investment Management, as of 04/30/2026
※4 Source: Bloomberg Financial L.P., State Street Investment Management, as of 04/30/2026
※5 Source: Bloomberg Financial L.P., State Street Investment Management, as of 04/30/2026
※6 Source: Bloomberg Financial L.P., State Street Investment Management, as of 04/30/2026
※7 Source: Bloomberg Financial L.P., State Street Investment Management, as of 04/30/2026
※8 Source: Bloomberg Financial L.P., State Street Investment Management, as of 04/30/2026
※9 Source: Bloomberg Financial L.P., State Street Investment Management, as of 04/30/2026
※10 Source: Bloomberg Financial L.P., State Street Investment Management, as of 04/30/2026
※11 Source: Bloomberg Financial L.P., State Street Investment Management, as of 04/30/2026
※12 Source: International Energy Agency, as of 04/14/2026
※13 Source: International Energy Agency, as of 04/14/2026
※14 Source: International Energy Agency, as of 04/14/2026
※15 Source: Bloomberg Financial L.P., State Street Investment Management, as of 04/30/2026
※16 Source: Bloomberg Financial L.P., State Street Investment Management, as of 04/30/2026
※17 Source: Bloomberg Financial L.P., State Street Investment Management, as of 04/30/2026
※18 Source: IIF, State Street Investment Management, as of 03/31/2026
※19 Source: CBO, as of 02/28/2026
※20 Source: Bloomberg Financial L.P., as of 04/30/2026
※21 Source: Bloomberg Financial L.P., State Street Investment Management, as of 04/30/2026
※22 Source: Bloomberg Financial L.P., State Street Investment Management, as of 04/30/2026
※23 Source: Street Investment Management, Congressional Budget Office (CBO), as of 05/01/2026. Note: CBO - The Long-Term Budget Outlook Data: 2026 to 2056 was published on February 25, 2026
※24 Source: State Street Investment Management, Congressional Budget Office (CBO), as of 05/01/2026. Note: CBO - The Long-Term Budget Outlook Data: 2026 to 2056 was published on February 25, 2026
※25 Source: State Street Investment Management, Congressional Budget Office (CBO), as of 05/01/2026. Note: CBO - The Long-Term Budget Outlook Data: 2026 to 2056 was published on February 25, 2026
※26 Source: Bloomberg Financial L.P., State Street Investment Management, as of 05/01/2026
※27 Source: Bloomberg Financial L.P., State Street Investment Management, as of 05/01/2026

〈出所〉
★1 出所:ブルームバーグ・フィナンシャルL.P.、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント、2026年4月30日時点。注:20分間隔のデータ。欠測値については、直近の価格データを用いて補完しています。記載されているパフォーマンスデータは過去のパフォーマンスです。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。

★2 出所:ブルームバーグ・フィナンシャルL.P.、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント。2026年4月30日時点。注:30日間の実現ボラティリティは年率化しています。 記載されているパフォーマンスデータは過去のパフォーマンスです。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。

★3 出所:ブルームバーグ・フィナンシャルL.P.、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント、米議会予算局(CBO)、2026年5月1日時点。注:CBO-長期予算見通し:2026〜2056年、2026年2月25日発行。記載されているパフォーマンスデータは過去のパフォーマンスです。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。

〈用語集〉
中央銀行:一つの国または国家連合で用いられる通貨と信用の創造と分配を独立性を持って管理する金融機関。

COMEX:コモディティ(主に金、銀、銅、アルミニウム)の先物を取引する市場

金のスポット価格:スポット市場における金の価格。国際的通貨コード「XAU」で表記される、1トロイオンス当たりの金価格。米ドル建て。

実質金利:インフレ調整後の金利。物価上昇の影響を取り除くことで、真の借入れコストおよび投資による実際の利回りを反映します。

ICEブレント:インターコンチネンタル取引所(ICE)で取引されるブレント原油先物で、国際的に取引される原油の主要なベンチマーク価格の一つです。

レフトテール・ヘッジ:株式急落、政策ショック、通貨の不安定化など、極端に悪い市場結果(下振れ)からポートフォリオを守るためのポジション。金は、市場全体におよぶストレス局面における過去のパフォーマンスから、レフトテール・ヘッジとして位置づけられることが多いです。

30日移動平均ボラティリティ:資産の過去30日間のリターンの年率換算標準偏差を測定、変動するリスクを示すため毎日更新されます。価格変動の激しさを定量し、値が高いほどリスクが大きいことを示します。

ディベースメント(通貨価値の切り下げ):通常、インフレ、過剰な通貨発行、あるいは時間の経過とともに通貨の価値を弱める政策によって引き起こされる、通貨の実質価値または購買力の低下を指します。

タカ派的な政策転換:中央銀行や政策当局のメッセージが金融引き締め方向へとシフトすることで、通常、政策金利の引き上げ、利下げ幅の縮小、あるいはインフレ抑制の強化を示唆します。

代替不換通貨:主要な準備通貨(特に米ドル)の代替として使用される、非伝統的な不換通貨を指します。

米議会予算局(CBO):超党派の米国議会機関で、議会に対して独立した予算および経済分析を提供しています。CBOは、提出された法案についてのコストの試算、連邦予算の予測、財政赤字・債務・利払い費・長期的な財政の持続可能性などを含む財政見通しを分析しています。CBOは政策提言は行いません。

国際金融協会(IIF):銀行、資産運用会社、保険会社、政府系ファンド、ヘッジファンド、中央銀行やその他世界の金融機関を代表する国際的な金融業界団体です。IIFは各国政府、家計、企業、金融機関の債務水準を追跡する「グローバル債務モニター」で広く知られています。

国際エネルギー機関(IEA):世界のエネルギー市場に関するデータ、予測、政策分析、提言を提供する政府間エネルギー機関です。IEAは1974年、大規模な石油供給の混乱に対する各国の対応を調整するために設立されましたが、現在では、その活動範囲は、石油、ガス、電力、再生可能エネルギー、エネルギー安全保障、エネルギー転換に及んでいます。

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