2016年2月と6月に見られた「半値押し」の株価
1年あまり相場が休みに入っていた間にも節目の株価が現れています。この間の安値は2016年2月と6月に、わずか1円違いの1万4865円と1万4864円をつけています。こういう形を「二点底」と言って、強い底入れ暗示があります。2つの底値が面合わせしていること、きれいなW底を描いていることも重要ですが、もう1つ、この1万5000円割れという価格そのものに意味があるのです。
1万5000円というのは、いわゆる「心理的な節目」とされる切りのいい数字でもありますが、それ以上に2015年からの値下がり幅に注目すべきです。第1章でも確認しましたが、それまでの3年波動では株価は約1万2000円値上がりしました。天井はおよそ2万1000円です。そこから1万5000円までの値下がり幅は約6000円。勘のいい読者はもう気づいたかもしれませんが、値上がりした幅の半分押して(値下がりして)下げ止まる典型的な「半値押し」なのです。
投資歴の長い人や私の本の読者は耳にタコができているかもしれませんが、「半値戻し」「半値押し」は絶対に覚えておかなければいけない投資テクニックなので、改めて簡単に説明します。よく知っているという人は飛ばしてもらっても構いません。
「半値」とは、直近の上げ相場の値上がり幅、もしくは下げ相場の値下がり幅の「半分」という意味です。今回、半値押しが出てきましたので、上げ相場から下げ相場に転換したケースで説明します。
100円の株が200円まで値上がりすれば、値幅は100円です。200円を天井に下げ相場になった場合、50円下げて150円になったところが「半値押し」です。念のためですが、「押し」というのは値下がりを意味する相場用語です。
転換点で再上昇すれば、上昇トレンドが継続するサイン
この節目が大事とされるのは、半値押しが次の相場転換点になることが多いからです。ここで下げ止まって再び上昇が始まれば、その相場はまだ上昇トレンドが継続していることを意味し、再び高値の200円まで戻す可能性が高いとされています。逆に、半値で下げ止まらず、さらに10円、20円と下げた場合は、元の100円までは下げ止まらないと判断されます。これを「半値押しは全値押し」と言います。
この反対が「半値戻しは全値戻し」で、下げ相場の値幅の半分まで反発したなら、元の株価まで戻る可能性が高いことを指す格言です。
なお、半値ほどは重要視されませんが、上げ幅、下げ幅の「三分の一」が節目になることもあります。「三分の一押し」で株価が反転した場合、これは強い上昇トレンドとされ、「三分の一押しは押し目買いのチャンス」という格言が知られています。
楽観シナリオの展開については、次回連載に続きます。