国際情勢は2017年にむしろ好転する可能性も
●この相場は上げ下げが激しい
値ごろより日柄という格言は、特にジェットコースターのような上昇と下落を繰り返す相場で重要視されます。そういう荒れた相場では、もっと上がると思って持ち続けていたら暴落するとか、常識的にはもう手放すべきと思った株が急に上がるといった現象が起きやすいのです。
今の日本市場は不安定要因が多く、なかなか安定した相場にはなりません。国内政治こそ安定しているように見えますが、政策的には政府も日銀もどっしり構えているとは言えません。2020年の東京オリンピックという景気にプラスになるはずのニュースでさえ、思惑と疑念が飛び交って不安定要因になっています。
国際社会に目を転じれば、さらに不確実性の時代に入っています。2016年6月の急落はイギリスのEU離脱ショックがきっかけでしたが、いまやヨーロッパでもアメリカでもアジアでも、これくらいの“ショック”はいくらでも起きる可能性があります。しかし、トランプ新大統領の登場で、アメリカは強いリーダーシップを発揮するかもしれません。多くのメディアや専門家はトランプ氏の保護主義的な政策を恐れているようですが、私はあまり心配していません。本書(『世界マナーが狙う「大化け日本株」』小学館)の第1章でもチラッとお話ししたように、私は彼の生い立ちや実績を調べました。おそらくトランプ氏は極めて実務的で、現状にうまく対応していくでしょう。そして、アメリカの敵には厳しい政策を実行するはずです。そうであるなら、この不確実なリスクに満ちた国際情勢が、2017年にはむしろ好転していく可能性があります。
3本目の矢である「成長戦略」「構造改革」こそがカギ
さて、上げ下げが激しい相場を波乱相場と呼びますが、「いくらで買うか、売るか」をセオリー通りに考えていると失敗します。チャートが描く波の高さは安定しないでしょう。こういう時はむしろ、相場のリズム=波動をしっかりとらえて、売り買いのタイミングを逃さないことが秘訣になります。
2012年から2015年までの3年波動は、いわば「アベノミクス期待相場」でした。「理想買い相場」とも呼びます。安倍政権が誕生して提唱された「アベノミクス3本の矢」のうち、金融緩和と財政出動の2つは実施されてきましたが、それらは景気や相場を浮揚させるテクニカルな政策であり、本当の意味で日本経済や日本企業が力強く成長するためには3本目の矢である成長戦略、構造改革こそがカギになるはずです。その面では、アベノミクスの本格始動はこれからです。
したがって次の上昇相場は「業績相場」になるはずです。過去の大相場を検証しても、低迷期から上昇期に移った当初は期待相場で株価が一本調子に上がることが多く、そこから次のステップに進めるかどうかは、現実の景気が好転して企業業績が追い付いてくるかどうかにかかっていました。それが実現できた場合が「業績相場」突入で、大相場を作ることが多いのです。