トランプ氏がIRSを100億ドル提訴――「自分の政府を自分で訴える」異例訴訟に裁判所が懸念【国際税理士が解説】

トランプ氏がIRSを100億ドル提訴――「自分の政府を自分で訴える」異例訴訟に裁判所が懸念【国際税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

トランプ大統領が起こした100億ドル規模の対IRS(内国歳入庁)訴訟が、アメリカで大きな議論を呼んでいます。自身の納税情報が漏洩したことへの損害賠償請求ですが、問題視されているのは、原告であるトランプ氏自身が、被告側のIRSや財務省、さらにはそれらを弁護する司法省のトップでもあるという点です。裁判所は「公平な裁判が成立するのか」と異例の懸念を示しており、税金を原資とする和解の可能性にも批判が強まっています。4月末に『トランプ劇場と超富裕層課税 増税か、減税か——税制が映し出すアメリカの真実』を刊行したばかりの奥村眞吾税理士が解説します。

「戦争と訴訟に税金を使い過ぎだ」共和党内からも不満の声

そのため、保守・リベラルを問わず、「戦争や訴訟で国民の税金を使い続けるべきではない」という批判が、民主党だけでなく共和党内部からも出始めています。

 

トランプ政権は、減税政策や強硬な外交姿勢を支持する層から依然として強い支持を得ていますが、一方で「財政規律」の観点から疑問を呈する声も広がっています。特に、福祉予算の削減が進むなかで、大統領個人に関わる訴訟や軍事支出に巨額の税金が投入されることへの違和感は、保守層の一部にも根強く存在しています。

日本でも強まる“取られる側”の不満

日本でも税と国民負担を巡る不満は強まっています。

 

高市首相は賃上げを訴えていますが、実際には賃金上昇に伴い所得税や社会保険料負担も増えるため、「手取りが増えない」という実感を持つ国民は少なくありません。食品消費税ゼロの議論も、現実的な制度設計の壁に阻まれています。

 

米国では「税金を使い過ぎる政治」への批判、日本では「税金を取り過ぎる政治」への不満――。両国とも、税と政治への国民の視線は、ますます厳しくなっています。

 

奥村 眞吾
税理士法人奥村会計事務所
代表

 

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