3.教育投資:子ども・孫への投資
米国では教育費が極めて高額です。1年で1000万円もの学費がかかる大学も少なくありません。子どもたちは奨学金などを使って、自分でも学費を調達しますが、親も補助をすることが多く、運用資産の大きな使い道となります。
子ども(孫)の大学進学資金(年間400万〜800万円は普通)、大学院進学資金、留学費用、529プラン(教育資金の非課税口座)による積み立てなどがその代表的な例です。
米国では、「教育は最高の投資」という価値観が徹底しており、増えた資産を喜んで“人への投資”に充てるという傾向が強くあります。そのため、自分の子どもだけでなく、孫への補助なども惜しみません。
4.事業投資・転職・起業の原資
米国はキャリアの流動性が高く、一つの会社に終身雇用で勤めることは稀です。また、会社員として勤めたあと、自分で起業して会社経営をし、また会社員に戻るなど、キャリア形成の柔軟性も日本とはかなり違います。
そして、30歳あるいは40歳前後で、キャリアアップ、キャリアチェンジなどさまざまな理由で、再度学び直す人も多くいます。そのため、起業資金やキャリアチェンジのための学費、または移住や転職活動の資金などの用途に運用資産が使われます。いわば、自己成長とキャリアアップのための投資に資金が回るのです。
5.寄付・寄贈(フィランソロピー)
米国では、寄付が社会文化として根づいています。高齢になってから寄付をするだけでなく、子どもの頃から少額であれ、自分の親しみのある分野や応援したい事業に寄付をするのが習慣化しています。寄付先としては、大学、病院、奨学金基金、財団(Foundation)設立、地域コミュニティ支援などが挙げられます。
超富裕層に限らず、中間層でも一定の寄付を行う人が多く、資産形成→社会への還元が自然なサイクルとして成立しています。
6.相続・世代間移転
米国では自分が元気なうちに、“保有している財産をどのように使い、どのように渡すか”を計画的に考える文化があります。具体的には、生前贈与、教育資金として早期移転、信託(Trust)による資産承継といった形で、“生きているうちにどのように使い、どのように渡すか”が実行されます。
一方、日本では「生きているうちにいくら使うかわからない」「資産を渡してしまうとその後、関係性が変化してしまうのではないか」など、ここでも使うことや渡すことへの心の壁があり、なかなか実行されません。
このように、米国人は「使う前提」で資産形成をしているといえるでしょう。米国の家計は、日本のように“貯めて終わり”ではなく、「老後」「住宅」「教育」「キャリア」「寄付」「相続・贈与」という多様な用途を想定して運用し、実際に使う文化があります。これにより、投資に対する意識が前向きになり、結果として資産形成の好循環が生まれているのです。
「使い下手」の日本人にもこれから、徐々にこういった文化が生まれてくるものと期待しています。
代田 秀雄
三菱UFJアセットマネジメント 前常務
シロタ・ウェルス・アンド・ウェルビーイング・アドバイザーズ 代表
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