「5月病=社会人失格」ではない
5月病のような不調を感じる人も「自分は社会人失格だ」などと決めつける必要はありません。
環境が大きく変わった直後に心身が疲れるのは、珍しいことではありません。突然無断欠勤をしたり、退職代行を利用したりする前に、できる範囲で会社に状況を伝えることも大切です。
「今の自分では業務量が多く、少し見直してもらえませんか?」
「思っていたよりも大変で、正直、寝られないこともあります」
「皆さん忙しそうで質問したくても声が掛けられません。質問の時間を設けてもらえないですか?」
本人から情報がないと、会社も対応ができません。もちろん、すべてを詳しく話す必要はありませんが、「いま、何に困っているのか」を少しでも伝えることで、不明点の確認、業務量の調整、教育方法の見直しなど、選択肢が広がります。
5月病対策は「4月の受け入れ時点」から始まっている
5月病対策は、ゴールデンウィーク明けに慌てて行うものではありません。4月の受け入れ時点から始まっています。特に効果的なのは、入社後1ヵ月以内の面談です。
「仕事には慣れてきましたか?」
「入社前のイメージと違った点はありますか?」
「質問しづらいことはありませんか?」
「困ったときに誰に相談するかわかっていますか?」
このような面談を、評価面談ではなくフォロー面談として行うことが重要です。評価される場だと思うと、社員は本音を隠します。また、上司に対する教育も必要です。若手社員の離職やメンタル不調は、本人の問題だけでなく、上司の関わり方によって大きく変わります。特定の部署、特定の上司にだけ退職が続く場合は、本人ではなく、上司に原因があることも多いといえます。
従業員の採用コストについては、人材関連の企業が独自の調査報告を掲載していますが、1人当たり100万円前後が多いです。もしせっかく入社した従業員が脱落すれば、採用にかけたコストを無駄にすることになってしまいます。
5月病は「組織を反映する鏡」でもある
5月病を「甘え」と切り捨てるのは簡単です。しかし、社労士の立場から見ると、5月病は社員個人の問題だけではなく、会社の受け入れ体制、教育体制、相談体制に問題があるケースも見られます。
もちろん、会社は学校ではありません。すべての不安を取り除くことはできませんし、社員にも仕事に向き合う責任があります。しかし、社員の不調を早い段階で拾い上げることは甘やかしではありません。むしろ、人材不足の時代における重要な労務管理です。
5月病は、本人にとっては「この会社でやっていけるか」というサインであり、会社にとっては「この人をどう育てるか」というサインです。同時に経営者にとっては「自社のマネジメントが今の時代に合っているか」を見直すサインでもあります。
「甘えかどうか」を判定する前に、まずは話を聞きましょう。
「辞めるか続けるか」を迫る前に、働き続けるための選択肢を探しましょう。
「最近の若者は…」と言う前に、自社の受け入れ方を振り返ってみましょう。
5月病への対応で問われるのは、若手社員の適応力だけではありません。会社側の聞く力、整える力、育てる力も問われているのです。
※1 株式会社くるめし「若手社員の「五月病」対策に求められるのは「社内コミュニケーション」!?「五月病」を感じたことのある20代・30代は約40%」(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000165.000007949.html)
※2 株式会社マイナビ 「【正社員2万人に聞いた】ゴールデンウィーク休暇と五月病に関する調査2026年」(https://www.mynavi.jp/news/2026/04/post_53155.html?utm)
山本 達矢
社会保険労務士法人WILL
代表社労士
特定社会保険労務士
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
【注目のセミナー情報】
【相続×資産運用】5月13日(水)オンライン開催
【短期償却】5月20日(水)オンライン開催
《所得税対策×レバレッジ投資》
インフラ活用で節税利益を2倍にする方法
