不便な暮らしこそが「生きがい」
久子さんにとって、古い家を自分で手入れし、工夫して暮らすことは、頭と体を使う「最高の暇つぶし」でした。
便利で整った生活は、確かに快適かもしれない。でも同時に、自分で考え、手を動かす楽しみを奪ってしまうものでもある。久子さんには、そう見えていました。
亮介さんが「ボロボロ」だという柱の傷や古いキッチンも、久子さんにとっては亡き夫や幼い頃の亮介さんと過ごした思い出が刻み込まれたものです。
そして、息子の成功は息子自身のもの。久子さんには、「自分の足で、身の丈に合った生き方をしたい」という自尊心がありました。
「この暮らしが好きだし、まだ貯金もあります。本当に困るようなことになったら、助けてもらうかもしれません。でも、できるところまでは自分で。それが私にとっての幸せなんです」
親への仕送りの実態
厚生労働省の「令和4年国民生活基礎調査」 によると、親へ定期的に仕送りをしている世帯は全体の2.1%です(親のみに仕送り/親と子の両方に仕送りを含む)。亮介さんと同世代の40~49歳に絞っても、定期的な仕送り実施率は3.2%。さらに、仕送り額の平均は全体で月約5万6,000円です。
実際に親へ金銭的援助を行っている世帯はわずかであり、また、援助の姿勢も「自らする」というより「親の金銭的事情からせざるを得ない」ケースも多いと思われます。
こうした状況を見ると、亮介さんのような大きな援助の提案は、客観的にみれば「理想の親孝行そのもの」に見えるかもしれません。しかし、久子さんは、住み慣れた景色の我が家、変わらない生活……それがあればいい。そういう考えでした。
良い暮らしをしている自分と質素な暮らしの親。そこに後ろめたさを感じることもあるでしょう。
しかし、もし親が「今のままでいい」というのであれば、それを受け入れて、もしもの時には手を差し伸べる。そうした適度な距離感を持つことが、本当の意味での親孝行なのかもしれません。
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