(※写真はイメージです/PIXTA)


トランプ政権が打ち出したステーブルコイン政策は、単なる暗号資産規制の整備にとどまらない。通貨発行の主体、信用の源泉、そしてドル覇権のあり方そのものを塗り替える可能性を秘めた“金融革命”だ。民間主導のデジタル通貨を軸に、米国は再び世界の資金循環を掌握しようとしている――その構想は、ユーロダラー、オイルダラーに続く「第三のドル覇権」の幕開けとなるのか。本記事では、武者陵司氏の著書『トランプの資本主義革命』(日本実業出版社)より一部を抜粋・再編集し、暗号資産をめぐるトランプ政権の動向と、米ドル覇権劇第三幕の開幕を予感させる「ステーブルコイン革命」について解説する。

需要を生み出す新たな世界通貨

ステーブルコインという新たな通貨発行は、米国にとって新しい需要創造手段になると思われる。第一に通貨発行企業は担保として、主に米国国債の保有が義務づけられるので米国国債需要が高まる。そして、ステーブルコインの発行を海外企業に認めれば、米ドルの信用創造、米ドルの需要を一層、強めることにつながる可能性がある。これが米ドル覇権の強化につながる可能性は大きい。

 

ステーブルコインを広く普及させるために、米国は確定拠出年金制度「401(k)」における暗号資産への投資を許可する大統領令に署名し、個人投資家が退職金口座で暗号資産にアクセスできる道を開いた。トランプ政権の暗号資産へのアプローチは、規制によって業界を抑え込むのではなく、イノベーションを阻害しない形でのルールづくりを進め、米国がデジタル資産分野での主導権を握ることを目指している。

 

ところでいま全知全能の神が、AI時代の経済と金融を采配するとしたら、何を行うだろうか。増大する供給力、貯蓄余剰、増加する失業に直面して、最適の需要創造を、信用創造を通して行うだろう。必要な需要創造を、最適な金利水準とリスクアペタイトによる信用創造を采配することによって行うはずである。必要な需要水準は、失業率とインフレによってモニターされる。これらのオペレーションを限られた知的エリートに委ねるのか、AIで強化された市場に委ねるのか。トランプ政権は明らかに後者を選択したのである。ドルが世界通貨として新たな飛躍を遂げるかもしれない。

 

 

武者 陵司

株式会社武者リサーチ

代表

 

 

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※本連載は、武者陵司氏の著書『トランプの資本主義革命』(日本実業出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

トランプの資本主義革命

トランプの資本主義革命

武者 陵司

日本実業出版社

「予測不能な人間でありたい」と自著で語るとおり、その剛腕で世界を振り回して混乱に陥れているトランプ政権。 トランプ政権がなにを目指しているのかを理解すれば、先が読める、投資で勝てる! 既存メディアの表層的な…

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