離職票の記載が「普通解雇」に変わり、失業給付の受給資格が復活して最悪の事態を回避
離職理由が「懲戒解雇」から「普通解雇」に変わったことで、雇用保険の取扱いは大きく変わります。
マコトさんは特定受給資格者となり、離職前1年間に6ヵ月以上という要件で90日分の基本手当の受給資格を得ることができました。また、特定受給資格者になったことで国民健康保険料の減免措置も受けられたのです。
この差は決定的でした。もし懲戒解雇のままだったなら、失業給付を受けられず、生活費のあてもないまま再就職活動をしなければならなかったかもしれません。けれども、離職理由が修正されたことで、生活の土台を最低限確保しながら、次の進路を考える時間ができました。
会社が書いた離職理由が、常に絶対というわけではありません。とくに被保険者期間が短いケースでは、離職理由の整理ひとつで、受給資格の有無が大きく変わることがあるのです。
「失業給付」で生活費を確保…訓練で学び直し、見事「税理士事務所」へ再就職
さらにマコトさんはその後、介護職に戻るのではなく、もともとの経験を活かせる分野への再挑戦を決意します。応募したのは、6ヵ月の財務関連の公共職業訓練でした。
そして見事に合格し、訓練受講中は基本手当の延長給付を受けながら学び直すことができました。これは単に「失業中にお金が少し長くもらえる」という話ではありません。生活費があるからこそ、焦って不向きな仕事に飛びつかずに済み、自分に合った分野に戻るための準備ができるのです。中高年の転職では、この「立て直す時間」を確保できるかどうかが、その後を大きく左右します。
訓練修了後、マコトさんは税理士事務所への就職を決めました。介護職への挑戦は長くは続きませんでしたが、その失敗がそのまま人生全体の失敗になったわけではありませんでした。再起のきっかけになったのは、特別な裏技ではなく、離職票の記載をそのまま受け入れず、修正の可能性をあきらめなかったことなのです。
「会社が書いた離職理由」が絶対ではない…失業給付をもらいながら人生を立て直す方法
失業給付は、退職したら自動的にもらえる制度ではありません。しかし同時に、会社が書いた離職理由が絶対という制度でもありません。
離職票を受け取ったとき、「会社がそう書いているのだから仕方がない」と諦めてしまえば、生活再建の道まで閉ざされかねません。離職票の一文が、その後の半年、1年を決めることがあります。マコトさんのケースは、その現実をよく示しています。
「懲戒解雇」という言葉だけで人生を終わらせないためには、制度を知り、使える手段をひとつずつ選んでいくことが再出発への分かれ道になるのです。
岡 佳伸
社会保険労務士法人 岡佳伸事務所
特定社会保険労務士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
