解雇より恐ろしい事実…離職票の“たった一文”で「失業給付」がゼロになる絶望
マコトさんが本当に追い詰められたのは、ここからです。
雇用保険の基本手当、いわゆる失業給付は、原則として離職前2年間に被保険者期間が通算12ヵ月以上必要です。一方で、倒産や解雇などによる離職で「特定受給資格者」に該当する場合や、一定の「特定理由離職者」に該当する場合は、離職前1年間に6ヵ月以上の被保険者期間があれば受給資格を満たすことがあります。
ところが、マコトさんの被保険者期間は約8ヵ月でした。つまり、離職理由が「懲戒解雇」のままであれば、そもそも基本手当の受給資格がない可能性が高かったのです。
ここは実務上、極めて重い点になります。離職理由は単なる名目ではありません。普通解雇か、自己都合退職か、懲戒解雇かによって、受給資格の有無や給付制限の有無も変わることがあります。
会社から見れば“処分名”にすぎなくても、離職者にとっては生活再建の可否を左右する問題なのです。
ハローワークに異議を申し立てても、会社は「懲戒解雇」を崩さない
マコトさんはハローワークで何度も異議を申し立てました。窓口の職員は親身に話を聞き、事情にも理解を示してくれたそうです。
もっとも、窓口が同情してくれても、それだけで離職理由が変わるわけではありません。会社側が「懲戒解雇」との主張を崩さず、資料上も処分の体裁が整っていると、訂正は容易ではないからです。
雇用保険実務では、離職理由に争いがある場合、離職者の申立てだけでなく、事業主側の説明や関係資料も踏まえて判断されるため、離職理由の争いは想像以上に重い問題になります。
マコトさんは仕事を失っただけでなく、失業給付の入口そのものが閉ざされかねない現実に立たされていました。
