少子化対策から考える、日本に「投資文化」を根づかせるアイデア
178万円の減収規模は財務省の想定でおよそ年6,500億円。前述の子どもに2万円を配るのが3,600億円、合わせて約1兆円です。
日本の新生児の出生数は68万人。ひとり10万円配るなら680億円で済みます。100万円配ったって6,800億円で済むのです。
それを米国同様、インデックス・ファンドで運用する。18歳まで、もしくは義務教育を終えるまで換金・譲渡できないとする。NISA口座で運用して非課税にする。こうして日本に投資を根付かせる。すると、いままで投資に関心のなかった層も投資の効果や恩恵を感じて自らも拠出して運用を始めるでしょう。
10万円×68万人=680億円は初期原資ですが、その後の値上がりは政府負担になりません。むしろ、金融教育の導入機会や長期で見れば税収増(キャピタルゲイン課税)にもつながります。 フローの財政負担は一度きりでストック効果は民間に蓄積する。はるかに筋の良い政策でしょう。
国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査」や、その他の最新の意識調査によれば、日本人がこどもを産まない理由の第一位は、
経済的理由=お金がかかるから
というものです。そこをバラマキでなく投資で解決する。非常に優れた少子化対策であり、成長戦略ではないでしょうか。
将来の話ですが、今後、政府が何らかのバラマキ策の必要に迫られた場合、同様の発想で、日銀が購入したETFの出口政策として国民にETFを配るというのもありでしょう。
とにかく日本に「エクイティ・カルチャー」を根付かせること、それが将来、日本経済と日本の社会にとって大きなリターンを生むと思います。
日本の資本主義は、今まさに変革期
今回のCGコード改訂による企業改革の進展も、俯瞰した観点から見れば日本の資本主義の転換点のひとつとしてとらえることができるでしょう。
大袈裟かもしれませんが日本の資本主義はいままさに生まれ変わろうとしています。それはCX(キャピタル・トランスフォーメーション)と呼ぶことができるくらいの迫力を持ったものになる可能性を秘めています。
日本の資本市場とその主役である日本企業は、いろいろな点で悲しいほど立ち遅れていました。しかし、それだけ成長の伸びしろが大きいとも言えます。
ここからドラスティックに変化・進化を遂げれば世界中の投資家の日本を見る目が変わります。その変革の熱量を揚力に転換していくことで日本株の上昇余地は相当大きいものとなるでしょう。
広木 隆
マネックス証券株式会社
チーフ・ストラテジスト
