相続の話になると、「うちは家族仲がいいから大丈夫です」と他人事に捉える人も少なくありません。しかし、どれほど仲のいい家族であっても、お金の話が絡む相続は、思わぬ対立に発展することがあります。なかでも注意したいのが、「遺留分」です。資産運用や事業承継に詳しい公認会計士の岸田康雄氏が、遺留分のしくみとよくあるトラブル、予防策について解説します。
遺留分をめぐる「よくある相続トラブル」
遺留分をめぐるトラブルには、いくつか典型的なパターンがあります。
1.特定の人物に財産のほとんどを相続させる遺言
まず多いのが、「全財産を妻に相続させる」「事業は長男にすべて継がせる」といった内容の遺言です。
遺言を書く本人としては感謝や期待を込めたつもりでも、なにも受け取れない家族にとっては、自分だけが排除されたように感じられることがあります。その結果、単なる財産の問題にとどまらず、家族間の感情的な対立に発展しやすくなります。
2.生前贈与をめぐる認識のズレ
また、生前贈与をめぐる認識のズレもトラブルの原因になりやすいです。
親としては、住宅購入資金や学費の援助を「すでに渡した分」と考えていても、法律上それが特別受益としてどのように扱われるかは別問題です。贈与なのか貸付金なのか、いくらで評価するのか、記録が残っているかどうかによって結論が変わることもあります。
3.遺言そのものの有効性
さらに、遺言そのものの有効性が争点になるケースもあります。遺言作成時に本人に十分な判断能力があったのか、あるいは誰かが無理に書かせたのではないか、といった点が問題になるのです。もし不正行為が認められれば、その相続人は相続欠格となり、相続する権利を失う可能性があります。
つまり、遺言は内容だけでなく、作成過程まで含めて適切であることが求められます。
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
平成28年度経済産業省中小企業庁「事業承継ガイドライン委員会」委員、令和2年度日本公認会計士協会中小企業施策研究調査会「事業承継支援専門部会」委員、東京都中小企業診断士協会「事業承継支援研究会」代表幹事。
一橋大学大学院修了。中央青山監査法人にて会計監査及び財務デュー・ディリジェンス業務に従事。その後、三菱UFJ銀行ウェルスマネジメント営業部、みずほ証券投資銀行部M&Aアドバイザリーグループ、メリルリンチ日本証券プリンシパル・インベストメント部不動産投資グループなどに在籍し、中小企業の事業承継から上場企業のM&Aまで、100件を超える事業承継とM&A実務を遂行した。現在は、相続税申告と相続・事業承継コンサルティング業務を提供している。
WEBサイト https://kinyu-chukai.com/
著者登壇セミナー:https://kamehameha.jp/speakerslist?speakersid=142
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