「全財産を妻に」…相続トラブルを防ぐ“最後の砦”「遺言書」も、内容しだいで泥沼化。見落としがちな〈火種〉の存在【公認会計士が解説】

「全財産を妻に」…相続トラブルを防ぐ“最後の砦”「遺言書」も、内容しだいで泥沼化。見落としがちな〈火種〉の存在【公認会計士が解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

相続の話になると、「うちは家族仲がいいから大丈夫です」と他人事に捉える人も少なくありません。しかし、どれほど仲のいい家族であっても、お金の話が絡む相続は、思わぬ対立に発展することがあります。なかでも注意したいのが、「遺留分」です。資産運用や事業承継に詳しい公認会計士の岸田康雄氏が、遺留分のしくみとよくあるトラブル、予防策について解説します。

遺留分は「誰が相続人か」によって割合が変わる

遺留分の割合は、誰が相続人になるかによって変わります。たとえば、相続人が配偶者と子ども2人である場合、家族全体で請求できる遺留分は原則として「遺産全体の2分の1」です。そのうえで、この2分の1を法定相続分に応じて配分します。

 

配偶者の法定相続分は2分の1ですから、遺留分としては遺産全体の4分の1に相当します。そして残る4分の1を子ども2人で分けるため、それぞれの遺留分は8分の1ずつになります。

 

このように、遺留分は「感覚的な公平さ」ではなく、法律上の基準によって明確に定められています。そのため、「長男は親の面倒を見ていたから多めでいい」「娘には生前に援助したから少なくていいだろう」といった家族内の感覚だけで決めてしまうと、あとになって法的なトラブルに発展する可能性があります。

遺留分侵害額請求には「時効」がある

遺留分の問題で見落とされがちなのが、「請求には厳しい期限がある」という点です。遺留分を請求する権利は、いつまでも行使できるわけではありません。原則として、自分の遺留分が侵害されていることを知った日から1年以内に請求しなければなりません。

 

さらに、たとえ侵害されている事実を知らなかったとしても、相続開始から10年が経過すると権利は消滅します。つまり、「家族のことだから少し様子を見よう」と先延ばしにしているうちに、法的な権利そのものを失ってしまう可能性があるのです。

 

この期限は非常に厳密で、感情的な事情を理由に待ってもらえるものではありません。遺留分の侵害が疑われる場合には、早い段階で専門家に相談し、内容証明郵便など適切な方法で意思表示を行うことが重要です。

 

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