月18万円で2人暮らし…息子の外食費に消える年金
啓子さんの家計を少し整理してみましょう。
総務省の「家計調査」(2024年)によれば、65歳以上の単身無職世帯の消費支出は月約14万9,000円です。それが2人暮らしとなれば、当然ながら食費や光熱費は膨らみます。啓子さんの年金月18万円は、慎ましく暮らす1人分としてはなんとかなる金額ですが、49歳の大人がもう1人いる世帯を支えるには明らかに不足しています。
達也さんの外食費を啓子さんに尋ねると、こう答えました。
「正確にはわかりません。でも月に6万円くらいは使っていると思います。食費だけじゃなくて、スマホの料金もわたしが払っていますし、洋服も買ってあげることがあります」
仮に達也さん関連の支出が月8万円だとすると、啓子さん自身が使えるお金は月10万円。ここから固定資産税の月割り分(年間約12万円、月1万円)、光熱費(月1万5,000円)、通信費(月5,000円)、医療費(月8,000円)を差し引くと、啓子さんの食費や日用品に充てられるのは月6万2,000円ほどです。
内閣府の「高齢社会白書」(令和7年版)によれば、60歳以上で経済的な暮らし向きに「心配がある」と感じている人は約3割にのぼります。啓子さんのケースはまさにそれ以上の状況です。
さらに深刻なのは、達也さんの将来です。49歳で厚生年金の加入期間はわずか3年。国民年金も長期間未納が続いています。このままでは65歳になっても受け取れる年金はごくわずか。仮に老齢基礎年金を満額受け取れたとしても月約6万9,000円(2025年度)ですが、未納期間を考えると実際はさらに低くなるでしょう。
転機は突然やってきました。啓子さんが自宅で転倒し、大腿骨を骨折。救急搬送され、そのまま入院となったのです。啓子さんが入院した翌日、達也さんから事務所に電話がありました。
「母が急に入院してしまって。それで……明日から俺のメシ代、どうなるんですかね」
正直、言葉を失いました。母親の体を心配するのではなく、最初に出た言葉が「メシ代」とは……。

