夫の遺産などと合わせ、手元には約9,000万円という十分な資産があるKさん(当時55歳・女性)。客観的に見れば老後の安心は約束されているはずが、「お金が足りるか怖い」と限界まで仕事のストレスに耐え続けていました。なぜ、これほどの資産がありながら、夜も眠れないほどの恐怖に陥ってしまったのでしょうか。彼女を縛りつけていたものと、本当の自由を取り戻すまでの軌跡を、CFPの下田幸彦氏が解説します。
足りないのは「お金」ではなく「安心の根拠」
Kさんの事例からは、「いくらお金があっても、人生全体の地図がなければ、不安は消えない」ということを学べます。
将来の見通しが立たない暗闇のなかでは、誰でも恐怖を感じます。その不安から、自分に合っていない投資商品をいくつも契約してしまうケースは少なくありません。
しかし、自分だけの「人生の地図」があれば、状況は一変します。どこまでが安全で、自分にとって必要十分な資産はどれくらいなのか。それが客観的な数字として示されたとき、人は初めてお金の不安から解放されます。
お金は、人生を豊かにするための道具に過ぎません。道具を増やすことに必死になって、肝心の「どう生きたいか」を見失っては本末転倒です。
もし将来への不安を抱えているのなら、新しい投資商品を探す前に、まずは自分の「現在地」と「目的地」を記したライフプランを描くことが、安心への第一歩となるはずです。
下田 幸彦
青い森FP事務所
代表/CFP®
青い森FP事務所
代表/CFP®
元ITエンジニアの経歴を持つ、異色の独立系ファイナンシャルプランナー。大手保険代理店やハウスメーカー金融担当者を経て独立。自身も株式・FX・不動産など幅広い投資を行う「実践家」でもある。
ITスキルを駆使した合理的で緻密な資産管理術と、自身の経験に基づく「顧客の不安や迷いに深く寄り添う」カウンセリングスタイルを融合。現在は、50代以上の「資産設計サポート」や富裕層の「デジタル遺産・相続対策」など、人生後半戦の資産防衛を専門とするアドバイザーとして活動している。
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