ほかの街にはない洗練された雰囲気の北山
北山は、ひと昔前までは京都随一のお洒落スポットでした。2000年代の全盛期以降、いったんそのブームは過ぎ去ったように見えますが、それでもなお、ほかの街にはない洗練された雰囲気は健在です。そこで、北山通は青山(あおやま)通り、それより北側は代官山と捉えました。
まずは北山通。洋菓子店やブティックが軒を連ねていて、モダンな建物が多いのが特徴です。結婚式場やドレス関連の店など、ウエディングの街としても知られています。そもそも、当時のまちづくり構想で青山通りをイメージしてつくられたと聞きます。たしかに計画的な意図が感じられ、バブル期につくられた印象を受けます。
一方、青山通りも東京随一のファッショナブルな街といえるでしょう。明治神宮から表参道(おもてさんどう)、外苑(がいえん)と続き、こちらも通称・建築通りと呼ばれるほど著名建築家の作品が集まっています。ただ、「同潤会(どうじゅんかい)アパート」など古い建物もきちんと使われているのが北山とは異なる点です。歩いている人は雑誌から出てきたような、お洒落な人ばかりです。お互いのファッションをほめ合っている女子2人組をよく見かけます。
北山通を北に上がれば代官山のイメージに
北山通を北に上がると一変して代官山のイメージになります。北側に向かってゆるやかな坂になっており、雑貨屋さんや洋服屋さんが点在しています。京都カフェブームの火つけ役である「カフェ・サロン」も、「BEAMS」や人気のFMラジオ局も、かつてはこの界隈にありました。個人店やセレクトショップを中心に、その群を抜いたお洒落さが、京都では新鮮な輝きを放っていました。
当時は中学生だった私も、「ラ・ドログリー」というめずらしい輸入ボタンの専門店によく通っていました。京都のなかでは少し背伸びして出かけるような場所だったのが記憶に鮮明に残っています。
代官山も同様にデザイナーブランドの小さなアパレルショップや、ブランドショップとカフェが入った商業施設が目立つ街です。駅の改札口の待ち合わせで待っているのは、ほとんどが女性です。
駅前から少し歩くと、庭のある閑静な住宅地になります。歴史的にも近い部分があります。代官山はもともと雑木林だった土地です。1970年代以降、建築家の槇文彦(まきふみひこ)氏によってヒルサイドテラスやその関連施設が30年かけてつくられ、現在の洗練されたイメージに塗り替えていきました。
近年停滞したかのように見えましたが、代官山蔦屋書店ができたことでカルチャーも入り、最近ではさらに付加価値が高まってきた街といえます。
類似点
●近代以降に計画的につくられた街。
●建築家作品のビル群、デザイナーブランドの小さな店、閑静な住宅街。
相違点
●青山・代官山のほうが昔の洋館や邸宅を壊さずに利用している。