今回は、京都駅と品川駅について、その役割や駅周辺地域の共通点を見ていきます。※本連載は、addSPICE(アッドスパイス)の代表で、京都への移住者を応援するプロジェクト「京都移住計画」の不動産を担当する岸本千佳氏の著書、『もし京都が東京だったらマップ』(イースト・プレス)の中から一部を抜粋し、京都の街を東京にたとえながら、京都を知らない人にもわかりやすく京都を紹介していきます。

じつは都市の中心ではなく、交通上の拠点

普通に考えると、京都駅は東京駅に当てはめたくなります。しかし、京都人の心の中心に京都駅は存在していないのが現実です。

 

京都の中心は、京都駅より北に歩いて30分ほどかかる四条河原町〜四条烏丸のあたり。会社で仕事をしたり、飲んだり、買い物をしたり、大多数の人が四条周辺を基軸に生活しており、京都駅は日常生活のエリア外と化しています。

 

そのため、京都の人のなかでは、京都駅は新幹線か電車の乗り継ぎでしか使わないという認識が一般的です。これは意外にも東京の人には知られていない事実かもしれません。京都で東京駅的なところとなると難しいのですが、官公庁や大企業の中枢でもないことから、少なくとも京都駅は東京駅というよりは品川(しながわ)駅に近いといえるでしょう。

 

駅ナカは、やはり玄関口ということで、地下街や駅ビルなどの発展が著しく、多くの人で賑わっています。ここ最近では、夜行バスで朝早く着いた観光客であふれ返っています。しかし、駅を離れると一変して、あまり人を見かけなくなります。暗く寂しい場所も多く見受けられるのです。

10分も歩けば、かつての姿の街にタイムスリップ

品川駅は新幹線やJRの複数の路線が発着する巨大ターミナル駅です。また、羽田(はねだ)空港へのアクセスも便利な城南(じょうなん)地区の一大拠点でもあります。

 

開業当初は、線路は海岸線に沿って建設されました。つまり、埋め立てて新たに造成された土地ですので、建物も新たにつくられるまで何もなかった場所です。その後、西の高輪(たかなわ)側はホテルなどの商業地域として栄え、東の港南(こうなん)側は工場や倉庫が密集する工場地帯として、それぞれ発展していきました。

 

1997年の品川インターシティの建設を皮切りに建設ラッシュが続いて一大ビジネス街となり、現在の地位を築いています。そのあたりは京都駅にはない戦略的な生き抜き方だったように思います。

 

もともと一大ターミナル駅にならないような場所に駅ができ、周辺だけが盛り上がってできた街で、10分ほど歩くと、かつてあった街の姿にタイムスリップする、その街のギャップある構成が、京都駅と品川駅はよく似ているのではないでしょうか。

 

また、京都駅の北側は家電量販店の巨大な建物のふもとに小さなビジネスホテルや商店が並んでいます。その風景は、家電量販店を除けば、なんとも東京の京橋(きょうばし)によく似ているようにも思えます。

 

京都駅
京都駅

 

品川駅
品川駅

 

類似点

●新幹線が発着する主要駅。

●駅ビルは人も多いが、駅を離れると街は静か。

 

相違点

●品川駅は一大ビジネス街として発展したが、京都駅は活路を見いだせなかった。

もし京都が東京だったらマップ

もし京都が東京だったらマップ

岸本 千佳

イースト・プレス

「赤羽」が好きな人は、「四条大宮」に行こう! 不動産業で活躍する著者が発見した「京都旅&京都暮らし」の新法則! 2015年末、京都で不動産業を営む著者が「もし京都が東京だったらマップ」を制作し、個人ブログにアップ…

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