本連載は、相続専門の弁護士である大竹夏夫氏の著書、『老活弁護士®が教えます!わかりやすい遺言書の書き方』(週刊住宅新聞社)の中から一部を抜粋し、いわゆる「争族」を防ぐための遺言書活用の留意点を見ていきます。

「法定相続人」「法定相続分」とは?

遺言書がなかったら、どうなると思いますか? 

 

ご存知ですよね。遺言書がないと、相続争いが起きます。家族が遺産を巡ってもめます。仲が良かった兄弟姉妹が、相続をきっかけにケンカを始めます。ソウゾクは「争族」って書くんです。

 

遺言書に誰が何を相続するのか書いておけば、そんな家族の争いを防ぐことができます。そもそも遺言書がない場合に、相続がどうなるのかを説明しましょう。

 

遺言書で誰が何を相続するのか書いていなかった場合、亡くなった方の財産(遺産)は、法律であらかじめ定められている相続人に対して、法律で定められている割合で引き継がれます。

 

法律で定められている相続人のことを「法定相続人」といいます。法律で定められている割合のことを「法定相続分」といいます。

 

誰が法定相続人で、その人の法定相続分がどのくらいなのか、結構複雑なので、ひとつずつ順をおって説明しましょう。

 

<妻・夫と子どもがいる場合>

まず、亡くなった人の妻または夫(配偶者といいます)と子どもがいる場合、妻・夫と子どもの全員が相続人になります。

 

この場合の相続分は、妻・夫が2分の1、子どもが2分の1です。では、子どもが2人いる場合、相続分は、親と子2人の3人で、3分の1ずつになるのでしょうか?

 

違います。

 

子どもが2人いる場合は、子どもの相続分2分の1を2人で均等に分けます。ですから、子どもは4分の1ずつになります。

 

子どもが3人いる場合は6分の1ずつ(2分の1を3等分)、4人いる場合は8分の1ずつ(2分の1を4等分)になります。逆にいえば、子どもが何人いても、妻・夫の相続分は2分の1なのです。

 

親よりも先に亡くなった子の分は「代襲相続」される

<子どもが親より先に亡くなっている場合>

相続人になれるのは生きている人だけです。亡くなった親よりも先に亡くなっている子どもは相続人にはなれません。

 

ただし、その子どもの子ども、つまり亡くなった親からみると孫がいたら、その孫が相続人になります。これを「代襲相続」といいます。

 

その孫の相続分の割合は、亡くなっている子ども(孫からみれば親)の相続分をそのまま引き継ぎます。孫が2人以上いる場合は、その相続分を均等に分けます。

 

めったにないと思いますが、その孫が先に亡くなっている場合で、もしその孫に子ども、つまり亡くなった方のひ孫がいたら、そのひ孫が相続人になり、孫の相続分をそのまま引き継ぎます。最近は寿命が延びていますので、ひ孫が相続人になることも増えそうですね。

 

本連載は、2016年6月29日刊行の書籍『老活弁護士®が教えます!わかりやすい遺言書の書き方』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

老活弁護士®が教えます! わかりやすい遺言書の書き方

老活弁護士®が教えます! わかりやすい遺言書の書き方

大竹 夏夫

週刊住宅新聞社

「老活」は、「老後に備える準備活動」です。「老活」のなかでも、とても重要なのが「遺言書の作成」です。 自分が残す財産やその他のことを死ぬ前に決めておく。これは実は当たり前のことだと思うのです。 残された人のため…

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