高い改定賃料をテナントに提示…恵比寿ガーデンプレイスの戦略
わかりやすい例として、恵比寿ガーデンプレイスを挙げよう。もともとヱビスビールの工場跡地に造られたこの大規模商業モールは、現在、外資系ファンドによって取得されている。その戦略は極めて明快だ。
商業施設であるがゆえに、賃貸借契約の更新を拒むことが比較的容易であり、契約期間満了のタイミングで順次、インフレ環境を前提とした高い改定賃料をテナントに提示する。条件が合わなければ入れ替えを進め、最終的には現在の物価水準に見合った新賃料で再募集することで、投資利回りを引き上げていくという手法を取っている。
結局のところ、デフレであろうがインフレであろうが、元本毀損する可能性が極めて低い資産、すなわち「同じ価格で売れるもの」を、人の資本で購入し、人の資本で返済していくという原理は変わらない。
他人資本を最大限に調達し、時間をかけて自己資本へと転換していく。この資産形成のセオリーこそが、デフレ下でもインフレ下でも一切揺らぐことのない、本質的な資産形成の考え方なのである。
また、ステージが上がるほどに、有事対応を意識した資産配分をしていくといいだろう。資産が増えれば、有事であっても多少の融資を引けるようになる。たとえば、平時なら買いたい物件の半額の融資が出るという場合、有事の環境下でも1~2割の融資は引けるだろう。
有事かどうかの判断には、日銀やFRBといった各国の中央銀行の動きを見ればすぐにわかる。傷んだ経済を立て直すため、ほぼ間違いなく金融緩和が行われるからだ。もし世界の中央銀行が一斉に動いたら、それが本当の有事だ。ある程度ステージが上がれば、有事にも対応できる準備をしておきたい。
小林 大祐
不動産投資家
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