近年、富裕層のあいだでは資産運用の拠点や住む場所を日本以外の場所に移す動きが活発化している。トランプ政権が「通商」と「軍事」を一体化させた政策を推し進めるなか、取り残された日本人が苦しみ、海外の資産家から日本の資産が食い荒らされる未来が待っているかもしれない――。資産37億円を築いた不動産投資家・小林大祐氏の著書『2035年 増える富・消える富の見分け方 インフレ地獄を生き抜く資産戦略』(KADOKAWA)より、その理由と資産家を取り巻く激変する世界の現状をみていく。
トランプ政権の“中国外し”が示す「経済協調」の崩壊
トランプ大統領の2期目がスタートして以降、世界中が彼の言動に振り回され、マーケットは大暴落も経験したが、それは事前にいくらでも予測できたことだ。
トランプ大統領の若いときの主義主張をYouTubeで見ることができるが、なにしろ彼のやっていることは若いころからまったく変わっておらず、1期目や選挙期間中に本人が主張し実践してきたことそのものであり、一貫して発言と行動が一致している。まさに言行一致、有言実行の人物なのである。
彼の政策の中で特に注目すべきは、これまでは別々の政策として進められてきた通商政策と安全保障政策が、関税政策によって一体化し進められている、という事実である。従来は、安全保障上や政治的には対立関係にある国同士であっても、そこには目をつぶって経済的にはそれなりに良好な関係を保って貿易を継続するというのがグローバルスタンダードだった。しかしアメリカは、今はサプライチェーンから中国を外すという明確な戦略に転換している。
その背景には、中国に技術や資源が流出した結果、アメリカの覇権が脅かされるようになったという事情がある。これからは通商と安全保障が一体のものとして扱われ、交渉のカードとして用いられることで、国と国との関係が大きく変化しようとしているのだ。
事実上区別されていた通商政策と安全保障が一体化するのは、別に今回が初めてではない。トランプ大統領の政策がかつてのブロック経済と酷似していることはすでに述べたが、通商政策と安全保障の一体化も、ブロック経済そのものであるともいえる。
トランプ政権下では金融市場の安定はもちろん、地政学的な安定が破壊されることがあってもおかしくはない。
不動産投資家
1976年生まれ。不動産投資家・実業家。富士ゼロックス関連会社を経て、富士ゼロックス本体(現・富士フイルムビジネスイノベーション株式会社)に勤務。27歳のときに兼業で起業し、現在に至る。創業から約20年間、金・コネ・知識のない状態から事業と投資を積み上げ、総資産37億1000万円、純資産25億円、借り入れ12億円、機動的資金8億円を構築(2026年1月時点)。現在は、不動産事業を中心に、資産保有設計、医師向け在宅療養支援診療所の開業・運用支援などを手掛け、グループ会社7社を経営している。自身の資産構築の実践経験をもとに、機動的資金5億円以上の超富裕層を対象として、相続税対策から資産の最大化、事業承継までを一気通貫で設計するファミリーオフィスおよび資産管理会社の運用代行を主な事業とする。YouTubeチャンネル「不動産アニキの非常識な投資学」は登録者数10万人を超え、不動産投資を中心に、資産形成の実践的な考え方や国際情勢に対する独自の視点が注目を集めている。
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連載37億円を築いた資産形成YouTuberが解説…インフレ時代に「増える資産」と「消える資産」