今回は、「消費者利益」を最優先にする姿勢が、日本の不動産業界では欠如しているという状況をお伝えします。※本連載は、株式会社リーシングジャパン代表取締役、沖野元氏、不動産コンサルタント、林浩一氏の共著『賃貸の新しい夜明け』(週刊住宅新聞社)の中から一部を抜粋し、定期借家契約のメリットと定期借家契約を実際に活用する際のポイントを紹介します。

不動産会社に横行する「情報の囲い込み」

私が不動産業界に飛び込んでから20年弱になります。不動産とは人が生活をしていくうえで必要となる「衣食住」の「住」の分野です。この「住」にかかわる仕事はどんな人にとってもなくてはならないものを取り扱うにもかかわらず、何か軽んじられている気がしてなりません。

 

かつてダーティーな部分があったからでしょうか。不動産業者も大家さんも重要な仕事を担っているという意識を持ち、もっと自信を持ち、堂々として良いのではないかと思います。欧米では不動産業に就く人は尊敬されているそうです。日本では聞いたことがありませんね。

 

これからの日本の不動産業界向上のためには、大手不動産会社を中心にして横行している両手取引のための情報の囲い込み等を今すぐやめるべきです。

 

 

上場企業である大手不動産会社が売上げのためにそろって「その物件には話が入っています」とか「まだ図面を作っていません」などと白々しいうそをついて他社の客付けを妨害している現状、そういったことがまかり通っている日本の不動産業界は、世界の笑いものでしょう。売主様はそういったことを知らない方がほとんどです。売りと買いのタイミングを不動産業者の利益のために逃していることになります。

空き家増加、人口減少…不動産業界は意識改革が必要

2014(平成26)年から、国土交通省が中心となって中古住宅流通のための施策を本気になって考えるようになりました。また、全国の空き家が820万戸ということも人々に衝撃を与えました。日本の総人口も減少に転じています。日本の“住”が変わらざるをえない状況になってきています。そんな今だからこそ、不動産業界は意識を変えて消費者利益を最優先していかなければならないのではないでしょうか。

 

私はこの仕事を神様から与えられたものだと考えています。それくらいに思わないと情熱を持って20年も続けられません。これからも微力ながら不動産業を通じて日本の住まいを良好にすることができたらと思います。

本連載は、2015年8月刊行の書籍『賃貸の新しい夜明け』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

賃貸の新しい夜明け

賃貸の新しい夜明け

沖野 元,林 浩一

週刊住宅新聞社

長らく旧態依然としていたこの不動産業界にも、大きな波が来ています。人々のライフスタイルの変化による波が、住まい方の変化にも及んできています。 こうした時代の変化に、不動産業者も大家さんもついていくしかありません…

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