役職定年は“時代遅れ”か…進む「制度廃止」
そもそも役職定年とは、組織の若返りや人件費の抑制を目的に導入されたものです。しかし現在では、その前提そのものが崩れつつあります。
実際、日立製作所や富士通、三菱ケミカルなど、複数の大手企業が制度の見直しや廃止に踏み切っています。この背景には、次の3つの大きな変化があると考えられます。
1.「人的資本経営」の浸透
年齢を理由に一律でポストを外すことは、企業の競争力を損なうという考え方が広がっています。
2.「ジョブ型雇用」への移行
役割と成果で評価する仕組みでは、「年齢での降格」は合理性を持ちません。
3.深刻な人手不足
経験豊富な50代・60代は、企業にとって貴重な戦力です。意欲低下や流出を招く制度は、むしろリスクとなります。
役職定年は、「時代の変化に合わない制度」になりつつあります。
「肩書き」がなくなったとき、自分にはなにが残るのか?
とはいえ、「50代以降どう働くか」という視点は、制度の有無にかかわらず誰にとっても避けられません。「肩書きがなくなったとき、自分にはなにが残るのか」という問いに向き合うことが重要です。具体的には、下記の4点をおさえるといいでしょう。
・スキルの棚卸し
会社の看板なしでも通用する「ポータブルスキル」を整理します。
・専門性の再構築
財務、営業、技術など、自分の強みを具体的に言語化し直します。
・デジタルスキルの強化
AIやデータ分析を取り入れ、これまでの経験「再現可能な価値」に変換します。
・セカンドキャリアの具体化
これまでの経験で得た調整力やコーチング力は、肩書きに依存せずその後のキャリアを飛躍させる重要なスキルです。副業を通じて市場価値を測り、将来の選択肢を広げるのもひとつの手でしょう。
なにより大切なのは、「学び続ける力(ラーニング・アジリティ)」です。過去の成功体験に固執せず、変化に適応できるかどうか、その後のキャリアを大きく左右します。
役職定年は、キャリアの“主導権”を取り戻す好機
役職定年は、「会社に依存するキャリア」から脱却するチャンスです。給与、役割、価値観すべてが見直されるこの時期をただ受け身で迎えるのか、それとも主体的に活かすのかで、その後の人生は大きく変わります。
あなたの価値は「肩書き」によって決まるのでしょうか。それとも、あなた自身が積み重ねてきた専門性と経験によって決まるのでしょうか。
一度立ち止まって自分に問いかける、いいタイミングといえるかもしれません。
岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
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