(※写真はイメージです/PIXTA)

アパート経営において管理すべき税金は、日々の家賃収入を申告する「不動産所得」に対する税金だけではありません。物件を売却して利益を確定させる「出口戦略」の段階では、不動産所得とは計算方法が異なる「譲渡所得」に対する税金への対策が不可欠となります。本記事ではこの「譲渡所得」に焦点を絞り、アパート売却タイミングの見極め方や所有期間による税率の違い、経費として認められる費用、売却損が出た場合の損益通算などを、元国税調査官で自らも不動産投資を行っている川口誠税理士が解説します。

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より高く、より安全に売るための買い手・仲介会社との付き合い方

ここまで税務テクニックを駆使して譲渡所得税を抑える方法を解説しましたが、出口戦略において忘れてはならない視点があります。それは、いくら税金を抑えても、売却価格が低ければ本末転倒ということ。適正な価格で、かつトラブルなく売却を成功させるためには、買い手と仲介会社との良好な関係構築と戦略的な行動が欠かせません。

 

1.仲介会社選びと「媒介契約」の選択

アパート売却の成功は、適切な仲介会社選びにかかっています。高い査定額を提示した会社に依頼することも大切ですが、近隣の成約事例や収益還元法による計算など、査定価格の根拠を明確に説明できる会社を選びましょう。不動産仲介会社には、居住用物件の売買に強い会社、事業用・収益物件に特化した会社など、それぞれ得意分野があります。アパート売却の場合は、収益物件の取り扱いに長けた会社を選ぶべきです。

 

また、媒介契約の選択も大切になってきます。アパート売却の成否は、結ぶ媒介契約の種類によっても左右されます。

 

専任媒介契約・専属専任媒介契約:一社に任せる代わりに、その会社がより積極的に販促活動を行い、売主への定期的な報告義務も課されるため、売却活動の進捗を把握しやすいのがメリット。担当者が一社に集中することで責任感が明確になり、よりよい条件での売却に繋がる可能性が高まります。

一般媒介契約:複数の仲介会社と同時に契約できるため、多くのネットワークを通じて買い手を探すことができ、早期の買主発見や、各社の競争による好条件の引き出しが期待できます。

 

したがって、一社に責任を持たせて熱心な活動を促し、進捗管理をシンプルにしたい場合は専任媒介契約を、早期かつ広範囲の集客を優先し、複数の会社と連携を取る手間を惜しまない場合は一般媒介契約を選択するのが、アパート売却における媒介契約の選択判断となるでしょう。

 

2.買い手とのコミュニケーションと物件情報の開示

買い手にとって、アパート経営は将来の収益を左右する重要な投資です。不安要素を取り除くことが、高値売却に繋がります。

 

収支状況(レントロール)、賃貸契約の内容、空室状況、修繕履歴など、物件に関する情報は正確かつ正直に開示しましょう。隠しごとはのちのトラブルの原因となり、最悪の場合、契約解除や損害賠償に発展する可能性もあります。また、清掃や整理整頓を徹底し、購入希望者に対して物件の清潔感と管理体制のよさをアピールしましょう。

 

3.売却の適正価格と交渉戦略

市場の動向、物件の築年数、立地条件、そして現在の賃貸稼働状況を総合的に判断した適正価格を把握することが大切です。

 

短期譲渡所得の税率を避けるためにも、焦って売却価格を下げる交渉に応じる必要はありません。市場に物件を出しつつ、売却時期の税率が変わるタイミングを見計らうなど、税務面と市場動向を組み合わせた戦略が必要です。また、買い手との交渉の余地を残した価格設定にすることで、円滑なコミュニケーションを促します。

 

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本記事は『アパート経営オンライン』内記事を一部抜粋、再編集したものです。

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