不公平の是正の具体策「ミニマムタックス」とは
「1億円の壁」を是正する具体策が「ミニマムタックス」(極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置)です。2025年分の所得税から導入されており、2026年の確定申告から実質的な影響が出始めています。
ミニマムタックスは簡単に言うと「お金持ちは最低限これぐらい税金を払ってください」というルールです。
具体的には、その年の基準所得金額から3億3,000万円の特別控除額を差し引いた金額に対して22.5%の税率を適用し、通常の所得税額を超える場合は差額を追加納税します。
対象は主に合計所得30億円規模、金融所得だけで10億円規模の人です。
ミニマムタックスの対象者拡大…課税強化の“最低ライン”が引き下げられる
ところが、2026年の税制改正大綱でこのミニマムタックスがさらに厳しくなります。
その年の基準所得金額から差し引かれる特別控除額が、これまでの3億3,000万円から「1億6,500万円」に半減したのです。加えて、税率も22.5%から30%に引き上げられます。
これにより、金融所得が4億円程度の人まで対象になる可能性が出てきました。
4億円となると、富裕層投資家だけでなく、たとえばM&Aで会社の株式を売却して数億円の利益が出た経営者も、特定の年にこの制度の対象となるリスクがあるでしょう。
税制の歴史を見ると、新しい税は、最初は超富裕層限定で始まるものの、徐々に対象を広げていくパターンが一般的でした。
消費税も、当初3%だったものが現在10%となっているように、この傾向は無視できません。
NISA勢も要注意?中流層を待ち受ける「増税シナリオ」
現在は「金融所得4億円規模」が対象です。
しかし、将来的に1億円、5,000万円、さらには1,000万円まで引き下げられた場合、退職金でまとまった資金を得たサラリーマンや老後のために投資している人まで影響を受ける可能性があります。
政府が「増税対象は富裕層限定ですから」と、不公平是正の名目で導入した制度が、いつの間にか中流層への増税装置に変わるリスクは否定できません。
