「月18万円あれば大丈夫」そう思っていた老後だが…
東京都内で一人暮らしをする木村さん(仮名・75歳)は、会社員として40年以上働き、定年退職後は年金生活に入りました。老齢厚生年金と老齢基礎年金を合わせた受給額は月18万円ほどです。
「贅沢はできなくても、普通に暮らす分には問題ないと思っていました」
持ち家で住宅ローンはなし。大きな負債もなく、現役時代に比べれば支出も減るだろうと考えていたといいます。
実際、退職直後の生活は落ち着いたものでした。食事は自炊が中心で、週に数回は外出して買い物を楽しむ。特別な出費はなく、日々を穏やかに過ごしていたといいます。
しかし、そのバランスは徐々に崩れていきました。
「気づいたら、同じものでも値段が上がっていって」
スーパーでの買い物を通じて、少しずつ変化を感じるようになったのです。以前は100円台で買えた食材が150円、200円に上がる。特売の回数も減り、全体的に支出が増えていきました。
「最初は気のせいかと思いました。でも、毎回少しずつ高くなっている感じでした」
電気代やガス代も上昇し、光熱費の負担も増加しました。これまで通りの生活をしているだけなのに、支出だけが膨らんでいく状態だったといいます。
支出が増える中で、木村さんがまず見直したのは食費でした。
「一番調整しやすいのが食事でした」
それまで1日3食きちんと取っていた生活から、徐々に量を減らしていきました。朝はパン1枚だけ、昼は簡単な麺類、夜は惣菜を少しだけ。
「歳をとって食べる量が減ってきたのもあって、最初は節約のつもりでした。でも、だんだんそれが当たり前になっていきました」
スーパーでは、値引きシールの貼られた商品を優先して選ぶようになりました。夕方の時間帯を狙って来店し、少しでも安く買えるものを探します。
「気づいたら、値引きシールばかり見ていました」
