孫が来ると、ついお金を渡してしまう…祖母の悩み
「また遊びに来たの?」
そう思ったとき、自分でも少し驚いたといいます。
都内の団地で一人暮らしをしている美代子さん(仮名・72歳)。夫を数年前に亡くし、現在の収入は月11万円ほどの年金が中心です。家賃は公営住宅のため抑えられていますが、光熱費や食費、医療費などを支払うと、余裕のある暮らしとは言えません。
そんな美代子さんの家に、月に何度か遊びに来るのが小学3年生の孫・翔太くん(仮名・9歳)です。
「おばあちゃん、こんにちは」
玄関のドアを開けると、元気な声が響きます。翔太くんは近くに住む娘の子どもで、放課後や休日にふらりと祖母の家に立ち寄ることが多いといいます。
本来、美代子さんにとって孫の存在は嬉しいものでした。
「小さい頃は本当にかわいくて、会えるのが楽しみだったんです」
ただ、翔太くんが成長するにつれ、ある習慣ができていきました。帰るときに「お小遣い」を渡すことです。
最初は500円でした。やがて1,000円、そして最近では2,000円ほどを渡すこともあります。
「今日もありがとう」
そう言って翔太くんが笑うと、断れなくなるといいます。
ある日、美代子さんは机の引き出しの中にあるポチ袋を見つめていました。中には8,000円が入っています。
「今月のお小遣い用です」
月11万円の年金から、孫のために用意しているお金です。決して余裕があるわけではありません。むしろ、生活費のやりくりは年々難しくなっているといいます。
総務省『家計調査(2024年)』では、65歳以上の単身無職世帯の平均消費支出は約15万円で、可処分所得を上回るケースも少なくありません。年金だけでは家計が赤字になる世帯も多く、貯蓄を取り崩しながら暮らしている高齢者もいます。
「本当は、こんなに渡す余裕はないんです」
そう言いながらも、孫の顔を見ると財布に手が伸びてしまうといいます。
