<やっておくと、ここがラク>
◆親の負の遺産を引き継ぐことがなくなる
親が負債を残して亡くなると、子どもが引き継ぐことに
親に借金やローンがあるかないかは、確認しておくべき重要なポイントです。借金があったら、どれくらいの返済額が残っているのか把握しておきましょう。負債を残して親が亡くなったとき、負の遺産を引き継ぐのは子どもだからです。
弁護士によると、負債がらみのトラブルは、高齢者が連帯保証人になったことで起きるケースが多いそうです。
親族、友人、勤務先などから頼まれて、家族に内緒で連帯保証人になっていることがあります。親が亡くなったときには、連帯保証人になっていることがわからず、数年後に判明することも。
また親本人も忘れがちなのが、若いころに契約した連帯保証です。それが、人生も終盤にさしかかった今になって連帯保証人として借金を請求されてしまうのです。連帯保証といえども立派な借金なので、返済できなければ、家を失う、破産するといったこともあります。
生前から、親の交友関係やいろいろな書類に目をとおし、連帯保証人になっていないか、可能な限り確認しておくことが重要です。また、判断能力に問題があるにもかかわらず連帯保証人になったときは、契約を取り消せる可能性もあります。専門家に相談してみましょう。
借金が多額の場合は「自己破産申請」をしてもらう手も
もし親が借金地獄に陥っていた場合、自己破産申請をしてもらうのも手です。そうすれば、借金はなくなるので借金を相続することもありません。また、親が亡くなった後に相続放棄をすることも可能です。親の借金を継ぐ必要はありません。ただ、預金や家などプラスの財産も相続できなくなります。
要注意なのは、相続放棄をするには家庭裁判所に対して、正式な手続が必要なこと。遺産分割協議書に相続しないと記載しても、家庭裁判所で認められなければ、債権者(お金を借りている相手)に対しては何の効力もありません。
家庭裁判所での相続放棄手続は、原則として相続を知ってから3か月以内に行ないます。亡くなった親に借金があった場合、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
また、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐ〝限定承認〞という方法もあります。これは、マイナスの財産(借金)の金額が、プラスの財産より明らかに多い場合や、まだわかっていない借金の可能性がある場合などに有効です。これも3か月以内の手続が必要です。ただし、限定承認は、相続人全員で行ないます。
相続放棄、限定承認の手続が終わる前に、遺産である土地などを売ったり、使ったりした場合は相続放棄、限定承認ができません。ただし例外もあるので、あきらめずに専門家に相談してください。
「親が死んで、受け継いだのは借金だけだった」
こんなことにならないように、親が生きているうちに、借金をきれいに清算しておいてもらうとよいですね。