「不自然な数字」には極めて敏感な銀行員
どうして見る人が見ると数字のウソがバレてしまうかというと、「前期と比べて、一部の数字だけが大きく変動している」とか「長年の付き合いの中で、これまでに見たことのない数字の動きをしている」といった〝不自然さ〟に気づくからです。
たとえば、棚卸の額が今期だけやけに増えていたら、銀行は「ん?」と引っかかります。そして、「今期はやけに棚卸が多いですが、どうしてこういうことになったのですか」と社長に質問します。
このとき、社長はその原因や理由を明確に説明しなくてはなりません。しかし、決算書を操作している場合はたいてい、あたふたしたり、説明があやふやになったります。顧問税理士が作った決算書で社長がノータッチの場合は、特にそうなります。
答えを用意していてもどこかでボロは出る
答えを用意していた場合でも、銀行は別の方向から質問を重ねます。
ありがちなやり取りとしては、社長が「今期棚卸が増えたのは、仕入れ先の会社がセールをしたので、まとめ買いしたのです。どうせ使うものだから、安いときに買ってストックしておくことにしました」と用意していた答えをしゃべったとします。
すると、銀行は「そうですか」と言いながら、「では、その在庫はいつさばけますか」と、さらに突っ込んだ質問をしてきます。どんどん突っ込まれているうちに、どこかでボロは出ます。