社長への仮払金が大きくなっていないか?
●純資産の比率が低い会社は業績が悪い
純資産は他人や銀行に返済しなくていい〝純粋な自分の会社の資産〟です。長年、少しでも黒字が続いていれば、利益剰余金などがわずかずつでもプールされていくため、純資産の部が増えていきます。しかし、赤字が続くと、負債の比率が大きくなり、純資産の部が小さくなります。場合によっては純資産の部がゼロやマイナスになることもあります。大体、赤字を3期も続けると、純資産の部はほぼマイナスになるでしょう。純資産の比率が高ければ高いほど、何年も利益を積み重ねてきた実績になります。貸借対照表が会社の歴史であると言われるのは、このように過去の業績が如実に読み取れてしまうからです。
●仮払金が大きいと融資はNG
仮払金は字義通り、仮に払ったお金です。仮に払ったお金は、何らかの資産か経費になって戻ってくるのが前提です。なので、借方の流動資産の品目として記載されます。この内訳を見て、社長への仮払金が大きい場合は注意が必要です。
たとえば、社長が海外出張をしたとします。その出張費を仮払金として一旦計上したものの、社長が領収書を出さず、精算ができませんでした。すると、それは社長への仮払金として処理されます。仮払いの精算が見込めない場合は、社長への貸付金になります。このような状態で融資を申し込んでも、銀行は「まず仮払金を回収してからにしてください」と言います。「話は社長が返すものを返してから」というわけです。これは当然と言えば当然の言い分でしょう。
会社の評価を下げてしまう不動産もある!?
●借入金の内訳によっても融資が止まる可能性がある
借入金の残高や内訳も重要なポイントです。銀行からの借入以外に、どんな借入があるかを見て、不健全だと判断されると融資は下りません。たとえば、生命保険会社の契約者貸付金、社長からの借入金、身内からの借入金、その他の個人からの借入金、カード会社からの借入金、貸金業からの借入金……それらが列挙されていると、「この社長はあちこちから借金をしまくっている。融資不適格会社だ」と判断される場合があります。
●利益を生まない不動産はマイナス評価になることも
会社名義で不動産を所有している場合、その所有目的についても注目されます。賃貸アパートや駐車場など「収益を生む不動産」であるかどうかです。本社ビル、社宅、自社用駐車場など「収益を生まない不動産」は、結果的に会社の評価を下げてしまう場合があります。
NECをはじめ多くの企業が本社ビルを売却してそのまま賃貸の形に変えているのも、そのためです。昔は不動産を持っているほうが安心な会社と思われていましたが、現在はリスクになる可能性もあるため、必ずしもプラス評価にはならないのです。
●リース契約は借金と同じ
機械などの設備をリースで購入しているケースも多いと思いますが、リース契約は分割払いと同じです。時々、「気に入らないからリース代を払わない」とか「もう機械を返すから払わない」と言う人がいますが、これは借金を返さないのと同じで金融事故になります。また、過剰なリース契約も融資の妨げになります。