娘夫婦からの「衝撃の一言」
ある日、真由子さんは娘にこう伝えました。
「これからは少し援助を減らそうと思って」
すると娘は沈黙しました。その後、娘の夫が口を開きました。
「正直に言いますね。援助がある前提で教育計画を立てていました」
真由子さんは言葉を失いました。
「お義母さんが出してくれると思っていた部分があって…正直、減ると困ります」
さらに続いた言葉は、真由子さんにとって衝撃でした。
「祖母が学費を支える家庭って、周りでも普通にありますよ」
その瞬間、真由子さんは自分の中で何かが崩れるのを感じたといいます。
家族間の教育費援助は珍しいものではありません。文部科学省や家計関連調査でも、祖父母からの教育資金援助が一定割合で存在することが示されています。2013年には「教育資金の一括贈与非課税制度」も創設され、高齢世代から子・孫世代への教育資金移転が制度的にも想定されています。
しかし継続的な援助の場合、支援と家計計画の境界が曖昧になりやすい側面があります。受け取る側が生活や教育設計に組み込めば、援助は「任意の支援」から「前提資金」へと性質を変えていきます。
真由子さんは振り返ります。
「私は“できる範囲で”のつもりでした。でも向こうは“続くもの”だと思っていた」
真由子さんは援助を段階的に減らすことにしました。娘夫婦との関係はぎくしゃくしました。
「冷たいと思われたかもしれません」
しかし同時に、こうも感じていました。
「老後資金は自分の生活のためのものでもあるので…」
高齢期の資産は医療費や介護費、住居費変動などの不確実性に備える意味を持ちます。老後後半ほど資産の安全余力は重要になります。
「孫は大事。でも、自分の老後も現実なんだと実感しました」
親世代にとって援助は「余力からの支援」であっても、子世代にとっては「家計の一部」として受け止められることがあります。継続すればするほど、その認識差は広がりやすくなります。
老後資金と家族支援。その境界は、必ずしも双方で共有されているとは限りません。援助をめぐる認識のずれは、気づかないまま関係の前提を変えていくこともあるのです。
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