わずか2ヵ月後、掛けられた言葉
同居から2ヵ月ほど経ったある日、健一さんが言いました。
「母さん、生活費足りないんだよね。5万円じゃ光熱費も食費も増えるし、正直きつい」
さらに続いた言葉は、和子さんにとって衝撃でした。
「正直、来てもらったら少しは楽になると思ってたんだ」
和子さんは言葉を失いました。
「そんなふうに思われていたんだとショックでした」と振り返ります。
健一さんは、同居によって家事や生活費の面で負担が軽くなることを期待していました。一方、和子さんは生活面を支えてもらう側になるつもりでいました。つまり同居に対する前提や負担認識が、親子で異なっていたのです。
親子同居では生活費分担が曖昧になりやすい傾向があります。和子さんの場合、年金10万円のうち5万円を生活費として渡していましたが、残りは医療費や日用品で消え、余裕はありませんでした。
その後、健一さんは生活費の増額を求めるようになりました。和子さんは「払えない」とは言えず、わずかな貯蓄を取り崩して応じました。
「迷惑をかけている気持ちが強くて…」
助けてもらうはずだった同居は、いつしか遠慮して暮らす関係へと変わっていきました。
親子同居は本来、支え合いで成り立つものです。しかし期待や負担の認識がずれたまま始まれば、その関係は容易に歪みを生むことがあります。
経済的な不安を背景に選ばれる同居であっても、それが安心につながるとは限りません。「助けてもらえるはずの関係」もまた、条件が整わなければ負担になり得る——それが高齢親子同居の難しさなのかもしれません。
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