(※写真はイメージです/PIXTA)

定年後の地方移住は「生活費が下がる」「自然に囲まれた穏やかな暮らし」といった魅力で語られることが少なくありません。実際、国土交通省『令和5年度 高齢社会に関する意識調査(高齢期の住み替えについて)』でも、高齢期の住み替え理由として「自然環境の良さ」や「生活費の低減」が挙げられています。しかし移住後の生活は、住居費だけでは測れない現実を伴います。医療・交通・地域関係・住宅維持費など、都市とは異なるコスト構造が現れるからです。

3年後の決断

移住から3年が過ぎた頃、退職金は1,800万円から約1,100万円まで減っていました。主な要因は、想定以上にかかった住宅の修繕費と車関連の維持費でした。

 

さらに冬場は灯油代が年間20万円近くにのぼり、車検や保険、税金といった支出も重なります。住居費が抑えられるはずだった地方暮らしでしたが、家計全体としては都市部にいた頃より負担が軽くなった実感はありませんでした。

 

夫妻が最終的に帰還を決めたのは、「この先もここで暮らし続けられるのか」という将来の見通しに不安を抱いたためでした。

 

70代後半になれば車の運転は難しくなり、庭や建物の維持管理も身体的負担が増していきます。医療機関までの距離や移動手段の制約も含め、この住環境は高齢期後半には支えきれない——そう感じたのです。

 

現在の暮らしに大きな破綻があったわけではありません。しかし、住宅維持、医療アクセス、交通手段、地域関係といった生活の基盤が、年齢とともに徐々に重くなっていく構造が見えてきました。地方移住の難しさは、移住直後の満足度ではなく、時間の経過とともに現れる持続性にあることを夫妻は実感していきました。

 

「ここでは長く暮らせないかもしれないね」

 

そう話し合い、夫妻は都市近郊の賃貸マンションへ戻る決断をします。家賃は月9万円と決して安くはありませんが、徒歩圏に医療機関や商業施設、公共交通がそろう環境は、生活の安心感を大きく変えました。

 

「生活のしやすさが全然違います」

 

妻はそう言います。夫も「無理をしなくていい暮らしになった」と話し、移住生活を振り返ってこう続けました。

 

「やっぱり、移住なんてやめればよかったのかもしれないな」

 

妻は苦笑しながら「憧れと現実は違ったね」と応じました。

 

地方移住は魅力ある選択です。ただし高齢期の住まいは、住宅価格や自然環境の良さだけでは測れません。医療への距離、移動手段、住宅維持の負担、地域との関係といった生活基盤が、年齢を重ねても無理なく保てるかどうかが重要になります。

 

佐々木さん夫妻の経験は、老後の住まいは費用の安さよりも「暮らしを支える構造の持続性」で選ぶ必要があることを示しています。住まいは憧れで選べても、老後の生活はインフラの上でしか成り立たない——夫妻がたどり着いた結論は、そこにありました。

 

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