「何この引き落とし…」通帳に並んだ見覚えのない支出
都内でメーカー勤務を続けてきた浩司さん(仮名・56歳)。年収は約720万円。妻(54歳)はパート勤務で、世帯年収は800万円弱です。
子ども2人は独立。住宅ローンも完済し、貯蓄は「そこそこあるはず」と考えていました。
「定年まであと4年。老後は大丈夫だろうと思っていたんです」
異変に気づいたのは、銀行から届いた郵送物がきっかけでした。定期預金の満期案内を確認しようと妻の通帳を開いたとき、見覚えのない引き落としが並んでいたのです。
「……え?」
動画配信サービス、健康食品定期購入、美容サブスク、通販定期便、オンライン講座、アプリ課金───。月額数千円〜1万円前後の引き落としが、十数件。合計すると、月6万円近くになっていました。
「何に使ったんだよ…」
思わず声が出たといいます。浩司さんは妻に通帳を見せました。
「これ、全部分かってる?」
妻は黙って眺め、やがて小さく言いました。
「……こんなにあった?」
話を聞くと、多くは数年前から始まっていました。
「最初は1つだけだったのよ」「試してみたくて」「やめるタイミングが分からなくて」
個別では大きな額ではありませんが、積み重なると見過ごせない総額になっていました。
家庭の家計管理は妻が担ってきました。生活費口座、貯蓄口座、妻名義の積立。浩司さんは給与を渡し、残高を細かく確認することはありませんでした。
「任せていたし、疑う理由もなかった」
しかし老後資金の確認を進めると、想定より貯蓄が少ないことが分かりました。
「定年時3,000万円くらいあると思っていたんですが…」
実際は約2,100万円、約900万円の差。その一部が、長年の小口支出の累積でした。
