銀行に嫌われず節税も両立「役員報酬の適正ライン」
では、役員報酬はどこまで下げれば安全なのでしょうか。
一つの目安としては、銀行が納得する「月額30万円(年収360万円)前後」です。
地域・家族構成にもよりますが、この水準なら「生活できます」と説明がつきやすく、生活費の出所を疑われにくくなります。
もちろん、利益が出ていればもっと高くても問題ありませんが、月30万円を下回るとツッコミが厳しくなる傾向があります。
さらに、低報酬でも融資を通すための具体策は以下の通りです。
■他の所得がある場合
不動産収入や顧問料などがある人は、確定申告書を必ず持参しましょう。銀行に「報酬以外でお金が入っているルート」を明確に示せば、疑念が晴れます。
■十分な貯蓄・資産がある場合
過去の会社売却益や資産運用で貯蓄がある人は、その銀行の口座に一部を移すのが効果的です。銀行は自分の口座残高を即座に確認できるため、説得力が格段に上がります。
これらの証拠を準備すれば、役員報酬が低くても融資を受けられる可能性は十分にあります。
極端な低報酬は「目先の節税」より「将来の資金繰りリスク」が大きい
役員報酬を極端に下げると、節税メリット以上に銀行融資の壁が立ちはだかります。
特に成長を目指す企業や、設備投資・運転資金が必要なタイミングでは致命的です。
最低限の防衛ラインを守りつつ、必要に応じて証拠を揃える――。これが、社長の資産を守るための現実的なバランスといえるでしょう。
黒瀧 泰介
税理士法人グランサーズ共同代表/公認会計士・税理士
