(※写真はイメージです/PIXTA)

親の介護は、同居や在宅サービスだけでなく、施設入居という選択肢によって負担が軽くなることがあります。一方で、入居後に「費用」や「手続き」をめぐって家族が新たな課題に直面することもあります。厚生労働省『令和4年 国民生活基礎調査』では、主な介護者は女性が多く、家族内で介護負担が偏りやすい実態が示されています。

「そんなことがありえるの?」

帰宅後、由美さんは繰り返しました。

 

「そんなことがありえるの?」

 

特別養護老人ホームは、重度要介護者の長期生活施設として位置付けられており、2015年の制度改正以降、原則として要介護3以上が入所対象です。要介護2以下になった場合は、例外要件に該当しない限り退去となります。

 

由美さんの頭に浮かんだのは、入居前の生活でした。

 

夜中の呼び出し、転倒の不安、食事の準備、通院の付き添い…。

 

「また、あれに戻るの?」

 

夫は言いました。

 

「在宅は無理だろ…でも他の施設って簡単に見つかるのか」

 

由美さんは震える声で言いました。

 

「私はもう限界までやったよ」

 

「やっと普通の生活に戻れた」と思っていた矢先でした。

 

介護施設は一度入れば継続できると考えられがちですが、制度上は介護度や適合要件によって入所継続の可否が変わります。特養は重度要介護者の生活施設であるため、状態改善により対象外となるケースもあります。

 

退去期限は3ヵ月後。由美さん夫婦は新たな施設探しを始めました。しかし空きは簡単には見つかりません。費用の高い有料老人ホームしか選択肢がない可能性もありました。

 

夫は言いました。

 

「在宅に戻るしかないかもしれない」

 

由美さんは黙っていました。

 

「肩の荷が下りたはずだったのに、また背負い直すことになるなんて」

 

介護は施設入居で終わるとは限りません。制度や状態の変化によって、暮らしの形は再び変わります。

 

 

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