コスト増対策としての「安易な外注化」は危険!
こうした変化に対応するため、たとえば「社員を全員クビにして、同じ人に業務委託で働いてもらおう」と考えたとします。
倫理的な問題を抜きにして考えると、上記の対策は一見合理的に感じるかもしれません。しかし、本改正によって労働者性の定義が拡大される方向のため危険です。
税務調査では、事業の実態に基づいて判断されます。毎日会社に来て社長の指示を受け、会社の道具(パソコンなど)を使って仕事をしている場合、税務調査官から「それ、違法です」と、偽装請負に認定されるリスクが高まるのです。
なお、税務調査で「偽装請負」と認定されると下記の“トリプルパンチ”が待っています。
■残業代:過去数年分の未払い分を請求
■社会保険料:過去2〜5年分の遡及加入・追納
■消費税:外注費として計上していた消費税が否認され、追徴
フリーランス保護法(2024年11月施行)も施行されており、外注化への取り締まりは国を挙げて強化されています。
改正後も“生き残る”ための正攻法
逃げ道を塞がれる以上、根本対策が必要です。ポイントは「人件費を減らす」ではなく「人件費を国に負担してもらう」仕組みを活用することでしょう。
1.機械・システム投資で人手不足を解消
・働き方改革推進支援助成金(業務間インターバル導入コース)……インターバル対応のための業務効率化機械(自動発注機、POSレジなど)を導入すると、費用の最大720万円まで補助されます。規制が義務化される前に活用するのが得策でしょう。
・中小企業経営強化税制……対象設備を導入すれば即時償却(初年度全額経費化)か税額控除(購入額の10%または7%)を選択可能。初年度に大きな節税効果が得られます。
2.賃上げを国に負担してもらう
賃上げ促進税制をフル活用します。給与を前年比で引き上げると、上げた分の最大45%を法人税から直接控除できます(通常30%程度、教育訓練費増やクルー認定などで45%までアップ)。
労働基準法改正は避けられない流れです。安易な外注化やごまかしは命取りになります。
今のうちに機械化投資や賃上げ促進税制を活用し、国のお金で人件費負担を軽減する準備を進めておきましょう。
黒瀧 泰介
税理士法人グランサーズ共同代表/公認会計士・税理士
