(※写真はイメージです/PIXTA)

世界的に富裕層の「移動」が加速するなか、韓国からの富裕層流出が注目を集めています。2025年の世界ランキングでは、英国、中国、インドに次いで韓国が4位に入り、2,400人が国外へ移住したとされています。その背景として指摘されているのが、株式に対する割増評価を含む韓国独特の相続税制です。相続税率引き下げを盛り込んだ税制改正案が示される一方で、富裕層の国外流出は止まるのでしょうか。『富裕層が知っておきたい世界の税制【太平洋、アジア・中東、アメリカ編】』の著者である矢内一好氏が韓国の相続税制と国際的な富裕層移動の実態を読み解きます。

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実効税率50%超も生んだ「最大株主割増評価課税」

もっとも、現行制度下における韓国の相続税の最高税率は50%です。

 

2020年10月に死去したサムスン電子の前会長、李健熙(イ・ゴンヒ)氏の相続税では、実効税率が50%を超えたことが大きな話題となりました。

 

その背景には、韓国の相続・贈与税法に規定されている「最大株主割増評価課税」(相続税及び贈与税法第63条第3項)の存在があります。

財閥経営と相続税制――株式だけに重い負担

この制度では、大企業の最大株主(筆頭株主またはその相続人)が相続した株式について、評価額に一定割合を上乗せして「相続価額」を算定し、そのうえで最大50%の税率を適用します。

 

具体的には、第63条第1項第1号および第2項の規定により評価した価額に、その価額の100分の20(大統領令が定める中小企業の場合は100分の10)を加算します。

 

さらに、最大株主等が当該法人の発行株式総数等の100分の50を超えて保有する場合には、100分の30(中小企業の場合は100分の15)を加算する仕組みとなっています。最大株主等が保有する株式等の計算方法については、大統領令(2002年12月18日改訂)で定められています。

 

このような割増評価課税の背景には、韓国特有の財閥経営の存在が影響していると考えられます。一方で、不動産には割増課税の規定がなく、株式のみに重い負担が課される点については、課税の公平性を損なうとの指摘も韓国の経済界から出ています。

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