ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中!
データで読み解く「日本経済」のリアル【エンタメ・スポーツ・事件編】
宅森昭吉(著)+ゴールドオンライン(編集)
データで読み解く「日本経済」のリアル【季節&気象・マインド・おもしろジンクス編】
宅森昭吉(著)+ゴールドオンライン(編集)
富裕層の資産承継と相続税 富裕層の相続戦略シリーズ【国内編】
八ツ尾順一(著)+ゴールドオンライン(編集)
シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!
課税強化する国、優遇する国…「二極化」が進む富裕層税務
2025年の統計によれば、純資産100万米ドル(1億5,500万円)以上の富裕層人口ランキングは下記のとおりです。
第1位:米国
第2位:中国
第3位:ドイツ
第4位:日本
第5位:英国
富裕層の税務上の特徴としては、納税者数が少ない一方で1人当たりの納税額が大きいこと、また租税回避行動が目立つことが挙げられます。こうした背景から、OECDや国連、G20などの国際機関では、富裕層課税のあり方が重要な検討課題となっています。
ただし、このように世界的に富裕層への課税強化が議論される一方で、多額の税収をもたらす富裕層を国外から呼び込もうと、さまざまな優遇措置を講じる国も存在します。
このように、現在の富裕層課税は、課税強化と税負担の軽減という相反する方向に同時に進んでいる状況にあります※。
※ 本稿でいう「富裕層に課税しない国」とは、いわゆるタックスヘイブンを指すものではありません。通常の課税制度を備えつつ、富裕層に対して相対的に有利な税制を採用している国を意味します。
G20、「国際租税協力」宣言…「課税強化」に進む国々
ブラジル・リオデジャネイロで開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議(2024年7月25日~26日)では、「国際租税協力に関するG20閣僚リオデジャネイロ宣言」が採択されました。
この宣言は、各国が協調して税の取り組みを進める必要性を確認した点で、OECDや国連の既存の枠組みとは異なる性格を持つものです。
この背景には、世界的に富裕層課税を強化しようとする目論見があります。
当時、ブラジルのアダジ財務大臣らは、資産額が10億米ドル(約1,550億円)を超える超富裕層に対し、少なくとも年2%の富裕税を課す「超富裕層ミニマム税構想」を提唱していたほどです(ただし、米国の賛同を得ることができず、この案は実施には至りませんでした)。
富裕層課税をめぐる国際的な取り組みとしては、金融口座自動的情報交換制度(AEOI)の実効性を支える「共通報告基準(CRS:Common Reporting Standard)」に基づく金融情報交換が一定の成果を上げています。
日本でも同様に、富裕層課税の強化が進められています。
具体的には、「国外転出時課税制度」により、資産を海外へ移転する際に課税する仕組みが導入されているほか、令和5(2023)年度税制改正では、年間所得が1億円を超えると所得税負担率が低下する、いわゆる「1億円の壁」を是正するため、「超富裕層への追加課税」が創設されました。
当初は、加算税額が
とされていましたが、令和8(2026)年度税制改正においては、下記のように変更されています。
基準額を1.65億円に引き下げ、税率も22.5%から30%へと引き上げることで、よりいっそうの税負担の強化が図られています。
