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本人の意思が伝わらない・・・
私はこれまで長年にわたり、富裕層の資産承継や相続税対策の現場に携わってきました。そのなかで何度も痛感してきたのは、相続トラブルの本質は財産の多寡ではなく、本人の意思が正確に伝わらないことにあるという事実です。
・どのような人生観で財産を築いてきたのか
・家族にどんな思いを伝えたかったのか
これらが曖昧なまま相続が始まると、遺された家族は推測と感情だけを頼りに遺産分割を行わざるを得なくなります。そこに誤解や不満が生まれ、やがて深刻な対立へと発展していきます。
特に深刻なのが、本人が認知症を発症したあとに迎える相続です。
この言葉を、私はこれまで何度も相続人の口から聞いてきました。
「本人が語り続けられたら」…その発想が、特許技術に
こうした現場体験の積み重ねから、筆者は一つの問いに行き着きました。
この問いへの答えとして開発したのが、被相続人の知力・感情・価値観・人生経験をデジタル化し、アバターとして再現する技術です。この仕組みは、本人の思考パターンや判断基準をAIに学習させ、「もう一人の本人」として保存します。そして相続時には、そのアバターが、本人に代わって自らの言葉で意思を伝えるのです。
いわば、「喋る遺言書」とも言える仕組みです。
この技術は、特許庁から特許第7743099号として正式に認められました。しかし、開発を進めるなかで、私はこの技術が、相続分野をはるかに超える可能性を秘めていることに気づいたのです。
アバターとは何か――「分身」が人を支える時代へ
アバターとは、インターネット上の仮想空間、オンラインゲーム、SNS、メタバースなどにおいて、ユーザー自身の分身となるキャラクターや3Dモデルのことを指します。
近年、このアバター技術は急速に進化し、単なる外見の再現にとどまらず、
・思考パターン
・感情表現
・行動特性
・判断ロジック
まで再現できる段階に入りつつあります。
この最先端技術と、私が開発した特許技術を組み合わせることで、「認知症になる前の自分」を未来に残すという、新たな可能性が開かれました。
認知症になっても「自分が、自分を支える」未来
このアバターには、認知症になる前の本人の判断基準や価値観が蓄積されます。
その結果、たとえ認知症を発症しても、
・金銭管理
・買い物の判断
・日常生活の意思決定
・対人関係の対応
といった場面で、「過去の自分」が助言を与える存在として機能します。
後見人でも、家族でもありません。自分自身が、自分を支える存在になるのです。これは、介護や福祉の枠組みを超え、人生設計そのものを変える技術革新と言えるでしょう。
「介護される存在」から「社会で生き続ける存在」へ
認知症になると、多くの人は、社会的役割を失い、「介護される存在」へと移行していきます。
しかし、アバター技術が普及すれば、認知症になっても、「認知症になる前の自分」として社会で生き続けるという未来が現実になります。
これは本人の尊厳を守るだけでなく、超高齢社会における社会保障制度や労働構造の再設計にもつながる可能性を秘めています。
認知症は防げるのか――だからこそ「備え」が重要
認知症について、「予防法はあるのか」とよく質問を受けます。運動、食事、睡眠、脳トレ、生活習慣病管理など、リスクを下げる方法は確かに存在します。
しかし、完全に防ぐ方法はありません。
だからこそ筆者は、「ならない努力」と同時に、「なった後の備え」が不可欠だと考えています。
認知症になる前に、あなたの“分身”を残しませんか?
もしあなたが、
・自分の老後に不安を感じている
・親の認知症に直面している
・自分らしい人生を最後まで全うしたい
と、思っているなら、認知症になる前に、自分のアバターを作るという選択は、極めて現実的な人生戦略になります。
それは単なるデジタルデータではありません。あなたの人生観・価値観・知恵を、未来の自分へ託す行為といえるかもしれません。
相続 × AI × 認知症――人生後半戦の常識を変えるために
私は、相続の現場で、人の「後悔」と「無念」を数え切れないほど見てきました。だからこそ、強く思います。
認知症アバターは、その第一歩です。テクノロジーは今、老いと向き合う人類の在り方そのものを変えようとしています。
八ツ尾 順一
大阪学院大学 教授
