「8兆円」は氷山の一角か。海外資産の少なすぎる“表の数字”と、専門家がみる「100倍の見えないマネー」の正体【確定申告時の背景を国際税理士が解説】

「8兆円」は氷山の一角か。海外資産の少なすぎる“表の数字”と、専門家がみる「100倍の見えないマネー」の正体【確定申告時の背景を国際税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

国外に資産を保有する日本人は、実際にはどれほど存在しているのでしょうか。国税庁が公表した最新の国外財産調書では、申告総額が8兆円を超えたとされています。しかし、国際的な金融口座情報の自動交換が進む現在、この数字をそのまま実態と受け止めてよいのかは疑問が残ります。CRS(共通報告基準制度)によって把握される海外口座情報の規模、アメリカが制度に参加していない現実、そして自主申告に依存する税制の限界──。確定申告シーズンを迎えたいま、国外財産をめぐる「申告数字」と「実態」との乖離を検証します。

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「8兆円申告」は何を意味しているのか

最新の公表によれば、国外財産調書の提出件数は1万4,544件、申告された国外財産の総額は8兆1,945億円に達しました。5年前の申告総額は3兆8,965億円でしたから、数字上はこの5年間でおよそ2倍に増えたことになります。

 

一見すると、日本人富裕層の海外資産が急増しているようにも見えます。しかし、この増加をそのまま資産の実態拡大と結び付けてよいのかについては、慎重な見方が必要です。国外財産の内訳を見ると、有価証券が5兆4,817億円、預金が8,817億円とされています。

 

筆者は、この増加は海外資産が一気に膨らんだ結果というよりも、税務調査や税務署からの問い合わせをきっかけに、これまで申告されていなかった国外財産が表面化した結果ではないかと考えています。

数字が示す「未申告」の存在

国税当局が公表している関連データを見ると、その推測を裏付ける材料が見えてきます。国外財産調書を提出していなかったことで、加算税や重加算税が課されたケースは366件ありました。

 

一方で、国外財産調書を提出した後に申告漏れが判明し、加算税の軽減措置が適用された事例も221件に上っています。

 

これらの数字は、国外財産をめぐって未申告や過少申告が相当数存在していることを示しています。言い換えれば、国外財産調書は「正直な申告」を促す制度であると同時に、申告されていない海外資産の存在を浮き彫りにする制度でもあるのです。

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