富裕層課税と税務当局の限界
筆者は、国外財産調書で公表されている数字は、実態の100分の1以下ではないかと見ています。今後、富裕層課税がさらに強化されれば、資金が一層海外へ流出する可能性は高まります。実際、イギリスなどでは富裕層課税の強化を背景に、富裕層の国外移住や資産移転が進んだ事例が確認されています。
しかし、日本の税務当局が把握できる海外金融情報には限界があります。特にアメリカの金融機関に関する情報はほとんど入ってこず、税務署は今なお、本人の自主申告に大きく依存せざるを得ない状況です。
問われるのは制度の実効性
確定申告シーズンは、単に納税を促すための期間ではありません。日本の税制が抱える構造的な限界や、課税の公平性がどこまで確保されているのかを改めて問い直す時期でもあります。
国外財産をめぐる「見えない海外マネー」の存在は、今後、富裕層課税や国際課税の議論が進む中で、より重い政策課題として浮上してくるでしょう。申告制度の実効性をどう高めるのか。その答えが示されない限り、「8兆円」という数字が持つ違和感は、今後も消えることはなさそうです。
奥村 眞吾
税理士法人奥村会計事務所
代表
ゴールドオンライン・エクスクルーシブ倶楽部が
主催する「資産家」のためのセミナー・イベント
【9月29日(火)開催】
こんな時、相続した不動産はどうなる?
不動産の評価はどうなる、住宅ローンがある、
相続時の登記や税金は…弁護士が対応策を一挙解説
【9月29日(火)開催】
不動産オーナー必見!利回りより大切な「税引後の手残り」
税理士が解説する“不動産×金融資産”の最適バランスと投資税務
【9月30日(水)開催】
「スマホの中の遺産」家族は見つけられますか?
“エンディングノート”で残す、デジタル遺産・収益不動産・相続財産情報
【AI時代の「家族承継」実践編】
【10月1日(木)開催】
オルカン、S&P500…「NISA」の最適な投資対象とは
金融資産1億円以上の方だからできる活用法
