前回は、一方的な契約解除もある「家賃保証」の危険なカラクリについて説明をしました。今回は、住宅メーカーにおいしい制度でもある、「家賃保証」のカラクリを見ていきます。

「賃料免責期間」の家賃はオーナーに入らない

前回に引き続き、家賃保証のカラクリを見ていきます。

 

三点目として、建物が完成しても、すぐに賃料収入が得られるわけではないことにも注意しましょう。

 

家賃保証の契約を結ぶと、管理会社が入居者を募集しますが、オーナーへの賃料の支払いの開始時期は、建物完成後、1~2カ月後が一般的です。この期間を「賃料免責期間」といって、実際は家賃収入があっても、管理会社からオーナーに賃料は支払われません。

家賃保証を付けて損するケースもある

また、家賃保証の契約をすると、一般的に礼金、更新料は管理会社が受け取ります。

 

ここで、仮に戸数10戸、家賃8万円、礼金1カ月、保証料15%、免責期間を2カ月として、建物完成から1年間満室だった場合で収入を比較してみましょう。

 

〈家賃保証なし〉

家賃8万円×10戸×12カ月=960万円

礼金8万円×1カ月×10戸=80万円

合計:1040万円

 

〈家賃保証をつけた場合(保証料15%)〉

家賃8万円×10戸×10カ月×85%=680万円

合計:680万円

 

いかがでしょう。そもそも住宅メーカーも、最初から入居者が決まりにくいような物件で家賃保証を実施するケースは少ないはずです。また、家賃保証で損が出ることを見込み、あらかじめ工費を高く設定するといった悪質なケースも見聞きします。

 

特に物件が新しく、入居者が決まりやすい時期の利益を“抜ける”という点で、家賃保証をしてもなお、住宅メーカーにとっても、おいしい制度といえるのです。

本連載は、2016年10月9日刊行の書籍『あなたの資産を食い潰す「ブラック相続対策」』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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秋山 哲男

幻冬舎メディアコンサルティング

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