前回は、相続対策として100坪の駐車場を賃貸マンションした失敗事例を取り上げました。今回は、大規模修繕の落とし穴を見ていきます。

賃貸物件は建ててからの方が手間も費用もかかる

住宅メーカーの営業マンの巧妙な手口、営業トークについて具体的に見ていきます。

 

◆要注意トーク7「建物の価値を上げるために、大規模修繕した方がいいですね」

 

建物は建てたら終わりではありません。20~30年経ち、建物の経年劣化が目立ち出すと、オーナーの肩に重くのしかかってくるのが大規模修繕です。収益物件の修繕は、最初投資した金額と同じ位の金額がかかると言う一級建築士もいます。

 

某住宅メーカーが営業用資料で算出している「アパート経営におけるランニングコストのオーナー負担」の概算を一例に挙げると、1棟8戸の2DKタイプのアパートを30年間経営した場合で、退去の際にかかる原状回復費の負担が約500万円弱、修繕費が1600万円というもの(*いわゆる東京ルールを適用した場合)。借り入れローンの返済のほかにも、合計でなんと2100万円超のコストがかかる計算です。

 

しかも、これは平均的データであり、たとえば家賃保証の契約をしている際、入居率が悪いと、「そろそろ修繕をした方が」と管理会社が言ってくるケースもあります。マンション・アパートは建ててからの方が、むしろ手間も費用もかかるのです。

建設をした工務店の系列に頼むしかない!?

「修繕ならば、安い中小の工務店に見積もりをとって依頼すればいい」

 

そう思うかもしれませんが、内装の設備、部品などは会社によって規格が異なり、同様の仕様で修繕するとなると、建設を依頼した住宅メーカー系列の工務店に依頼するしかないという事態もありえます。

 

特に、大手住宅メーカーが手掛ける、いわゆる工業化住宅は工場で生産した部材を組み立てるスタイルであり、部品の仕様やサイズがメーカーによって異なるケースが大半です。

 

オープンテクノロジーの時代にあって、何とも前近代的な話のようですが、これも住宅業界の“囲い込み”の図式といってもいいのかもしれません。だからこそ、口を酸っぱくして申し上げますが、最初にアパート経営をスタートする際の事業計画書や収支プランの確認、業者の設定が肝心なのです。

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