父の遺産をめぐって…長男と次男が衝突
父の葬儀が終わり、各種手続きが一段落した1ヵ月後。長男のタカシさん(55歳・仮名)と次男のケンジさん(50歳・仮名)は、父が遺した遺言書を前に向き合っていました。
その内容を目にした瞬間、兄弟の関係は静かに、しかし決定的に崩れ始めたのです。母は数年前に他界しており、相続人はタカシさんとケンジさんの2人だけ。遺産は、自宅不動産と約5,000万円の預貯金です。
遺言書には、こう記されていました。
「自宅はタカシに、現金5,000万円はケンジに相続させる」
これを見たタカシさんは、言葉を荒らげます。
「なんでお前だけが5,000万円も相続するんだ。家は固定資産税もかかるし、維持費だってバカにならない。売るにしたって簡単じゃないだろ!」
タカシさんは、地方で小さな工場を経営しています。設備更新や従業員の給与支払いに追われ、決して余裕のある経営状況ではありませんが、家族を養いながら何とかやりくりしてきました。
一方のケンジさんは、かつて都市部でITベンチャーを起業したものの事業に失敗。多額の借金を抱え、現在はアルバイトで生計を立てています。
「俺には借金があるんだ。父さんもそれを分かってたから、こういう遺言にしたんだろう」
そう反論するケンジさんに、タカシさんは納得しません。
「それでも不公平だろ。お前の失敗の尻拭いを、なんで俺がするんだ」
兄弟の話し合いは平行線をたどり、ついには激しい口論に発展しました。
「もういい。法的に争ってでも、納得できる形にする」
タカシさんはそう言い残し、弁護士に相談することを決めました。
