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「ちゃんと返しているのに…」奨学金が結婚の足枷に
「奨学金はきちんと返せています。まさか、それが結婚の足枷になるとは思っていませんでした」
そう語るのは、横田悦香さん(32歳・仮名)です。メーカーで企画職として働き、年収は約600万円。2歳年下の夫(30歳)も会社員で、年収は約500万円です。結婚して2年目になる共働き夫婦です。
悦香さんは地方出身で、東京の国立大学に進学しました。学生時代は一人暮らしをしており、当初は月15万円ほどの仕送りを親から受け取っていました。
「本当にありがたい環境だったと思います。ただ、下に妹もいましたし、いつまでも親に頼るのは違うと感じていました」
そこで悦香さんは奨学金を申請し、塾講師のアルバイトを始めました。生活費が賄えるようになったタイミングで、親に「もう仕送りは大丈夫」と伝え、自活する道を選びました。
「奨学金は、借りたら返すもの。自分で決めたことなので、特別なことだとは思っていませんでした。それに国立だったせいか、奨学金を借りている友人は多かったんです」
社会人になってからも、奨学金の返済は滞りなく続いています。もちろん返済は家計からではなく、悦香さんの給料から支払っています。現在の返済額は月に2万円ほどで、生活に大きな影響はありませんでした。
夫と出会ったのは、悦香さんが社会人になって6年ほど経った頃です。夫とは当時、同じシェアアパートで暮らしていたことがきっかけで知り合い、交際を経て結婚を決めました。
しかし、結婚の話が具体的になると、思いがけない反応が返ってきました。難色を示したのは、夫の母親でした。
「奨学金を借りていた家庭の人との結婚は、正直、許せない」
夫は関西の私立大学出身で、実家から通学し、奨学金は利用していませんでした。義母にとって、奨学金は「経済的に不安がある家庭の象徴」のように映っていたようです。
「返済額や収入の話をしても、聞いてもらえませんでした。だんだん、『私の実家がおかしかったのかな』とまで思ってしまって……」
「ご両親の老後は大丈夫なの?」忘れられない一言
とくに悦香さんの心に強く残っているのが、義母から投げかけられたこの言葉でした。
「子どもの教育費も満足に用意できないなんて、ご両親の老後は大丈夫なの? あなたたちやこっちに負担がくる可能性はないの?」
その瞬間、悦香さんの中で何かが切れました。
「私は中高は私立に行かせてもらいました。その代わり、大学は東京の国立に進んで、奨学金を使おうと決めていたんです。実家から通える人と、一緒にしないでください」
心の中だけで思うはずだったのですが、気がついたら、そのまま口に出ていました。義母は顔を真っ赤にして怒り、その場は険悪な空気に包まれました。
「悔しかったです。でも同時に、実家にはとてもじゃないけど『奨学金が原因で結婚を反対されている』なんて言えませんでした」
結果的に、結婚式は挙げていません。
「もともと夫婦ともに結婚式に強いこだわりはなかったんです。でも、どこかで『こうなってしまった』という気持ちも、正直ありました」
