義実家とは疎遠に
最終的に、夫は義母に強く反発し、悦香さんとの結婚を選びました。その結果、現在も義実家とはほぼ絶縁状態が続いています。
結婚生活そのものに不満はありません。夫は一貫して悦香さんの味方で、「気にしなくていい。悦香のご両親はとても立派だと思うよ。どっちかというと体裁を気にしてばかりの母親より悦香の実家のほうが居心地がいいんだ」と言ってくれています。それでも、悦香さんの胸には消えない思いがあります。
「私の奨学金のせいで、夫と義実家の関係を悪くしてしまったのではないか、という罪悪感です」
最近は、子どものことも考え始めています。そのたびに、「このまま孫の顔を見せることなく、関係が終わってしまうのかな」と考えてしまうといいます。
奨学金返済が「結婚」に影響すると感じる人は4割台半ば
悦香さんのような経験は、決して珍しいものではありません。
労働者福祉中央協議会が2024年に実施した「高等教育費や奨学金負担に関するアンケート」(全国3,000人対象)によると、奨学金制度の利用状況をみると<利用していた>は31.2%であり、大学卒の利用率は45.2%に。奨学金利用者のうち、日本学生支援機構の貸与型奨学金利用者(以下JASSO利用者)の奨学金借入総額は、平均値344.9万円(中央値312.1万円)という結果でした。
またJASSOの貸与型奨学金利用者のうち、返済が「結婚」に影響していると感じている人は4割台半ばにのぼっています。同調査では、「貯蓄」は6割強、「結婚」や「日常的な食事」は4割台半ば、「出産」「子育て」も4割前後が影響を感じていると回答しています。
奨学金は、返済が続く限り、学生時代の話にとどまらず、結婚や家族形成といった人生の節目にも影響を及ぼしている実態がうかがえます。
「返せるか」ではなく、「どう見られるか」
悦香さんが直面したのは、経済的な問題ではなく、価値観の問題でした。
「月2万円の返済自体は、今の収入で十分に対応できます。でも、“奨学金を借りた家庭”という見られ方をされたことが、いちばんつらかったです。奨学金を借りたことが、誰かの人生や結婚を否定する理由になる社会ではあってほしくない」
悦香さんのその言葉は、同じように奨学金を背負いながら、これから家庭を築こうとする多くの人の胸に重なるのかもしれません。
[参考資料]
労働者福祉中央協議会「高等教育費や奨学金負担に関するアンケート」
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