22歳で年収500万円を手にして優越感に浸る
「同い年の連中よりずっと稼いでいる自負はありました」
佐藤健太さん(仮名・25歳)は、大手自動車部品メーカーのメンテナンスエンジニア。高校を卒業してすぐ働きはじめ、現場のスペシャリストとして夜勤や残業をいとわずこなしてきました。
22歳のころには、20代の平均年収を凌ぐ、年収500万円を手にしていたのです。すでに社会人4年目だった佐藤さんは、同年代よりも多い手取り額に酔いしれていました。
「自分にできないことはない。本気でそう思っていました」
その勢いのまま、350万円の中古外車をフルローンで購入。しかし、維持費や車検代という現実的な出費への備えは皆無でした。
そして、不足分を補うために初めて手を出したキャッシング。それがすべての崩壊の始まりでした。
最初は数万円も、いつの間にか桁が増え…
当時、佐藤さんの家計を最も圧迫していたのは、間違いなく「見栄」の象徴である外車でした。毎月7万円にのぼる車のローン返済に加え、ガソリン代や高額な車両保険を付帯した任意保険料だけで月4万5,000円が消えていきます。
さらに、家賃や光熱費で8万円、外車乗りにふさわしい振る舞いを維持するための食費や交際費が9万円。これに通信費やスマホ代、駐車場代などの諸経費3万5,000円を合わせると、手取りの28万円を超える32万円が毎月流れ出ていくように。
「毎月4万円の赤字。最初はそれを数万円リボ払いに回してやり過ごしていました。でも、タイヤ交換や車検で一度に数十万円の請求が来たとき、ついにキャッシング枠に手を染めました」
ATMにカードを差し込み、ボタンをいくつか押すだけで、即座に10万円、20万円という現金が手に入る。最初は「借金をしている」という罪悪感に苛まれましたが、その手軽さを繰り返すうち、佐藤さんの心からは急速に危機感が消え去っていきました。
いつしか画面に表示される「利用可能額」が、まるで自分の銀行残高であるかのように錯覚し始めていたのです。
「限度額までは、自分の思い通りに動かせる金がある。そんな歪んだ万能感に支配され、気づけば借金で借金を返す地獄へと足を踏み入れていました」
